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出産祝いの帰りに消えたブレスレット→1週間後取りに行くと友達が「もう見つからないかも」
2026/03/06

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出産祝いを渡して友達の家を出た日の夜だった。

家に帰って着替えようとしたとき、ふと手首を見て違和感に気づいた。

「あれ…?」

ブレスレットがない。

一瞬、頭の中が真っ白になった。

私は慌ててバッグの中を探した。
ポケットも、コートの中も、全部ひっくり返した。

でも、どこにもない。

そのブレスレットは、ただのアクセサリーじゃない。

私が子どもを出産した日、病室で夫がくれたプレゼントだった。

出産が終わって、まだ体も動かない私に、夫が小さな箱を差し出した。

「頑張ったね」

箱を開けたときのことを、私は今でも覚えている。

だから、そのブレスレットは私にとって
ただの金のアクセサリーじゃない。

子どもが生まれた日の思い出そのものだった。

そんなものが、ない。

私は急に不安になり、今日の行動を思い出した。

今日行ったのは――
出産祝いを渡しに行った友達の家だけ。

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「もしかして…」

そう思いながら、もう一度家中を探した。

ソファの下まで見た。

でも、やっぱりない。

仕方なく私は友達にLINEを送った。

「ごめん、さっきそっちにいたとき
ブレスレット落としてないかな?」

数分後、返信が来た。

でも送られてきたのは文字じゃなかった。

一枚の写真だった。

そこには、友達の赤ちゃんの腕が写っていた。

そしてその腕には――

私のブレスレットがついていた。

一瞬、言葉を失った。

その直後、メッセージが届く。

「忘れ物してるよ〜!
あたちがもらっちゃうよ〜!」

赤ちゃんの口調を真似た、軽い文章だった。

私は少し戸惑いながら返信した。

「ごめん🙏
来週会うときにもらうね!」

するとすぐ、またメッセージが来た。

「え〜」

そして続けてこう書かれていた。

「もううちの子の物みたいに馴染んでるんだけどな〜笑」

その一文を見た瞬間、胸の奥がざわついた。

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冗談なのは分かる。
悪気もないのかもしれない。

でも――

それは私にとって、冗談で済ませられる物じゃない。

もし壊れたら?
もし失くしたら?

色んな考えが頭の中をぐるぐる回った。

それでもその日は、

「来週会うときにもらうね」

とだけ送って、LINEを閉じた。

そして一週間後。

私はもう一度、友達の家を訪ねた。

玄関を開けると、友達はいつも通りの笑顔だった。

「久しぶり〜」

少し雑談をしてから、私は言った。

「そういえば、この前のブレスレット…」

すると友達は「あっ」と思い出したような顔をした。

そして少し困ったように笑った。

「それなんだけどさ…」

嫌な予感がした。

「ごめん、ちょっと分からなくなっちゃって」

「え?」

私は思わず聞き返した。

友達は軽い調子で続けた。

「うちの子に一回つけて、そのあと外したんだけどさ、
どこに置いたか忘れちゃって」

頭の中が一瞬で真っ白になった。

私は静かに言った。

「それ、私が出産した日に
旦那がくれたものなんだ」

友達の表情が止まった。

「え…そうなの?」

私はうなずいた。

「だから、大事なもの」

部屋の空気が少し重くなった。

さっきまで笑っていた友達の顔が、急に焦り始めた。

「ちょっと待って!
絶対どこかにあるから!」

引き出しを開ける。

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テーブルの下をのぞく。

カバンの中を探す。

さっきまでの余裕は完全に消えていた。

そして数分後。

「あった!!」

友達がソファの隙間から小さな物を取り出した。

それは間違いなく、私のブレスレットだった。

私はそれを受け取った。

指先で確かめる。

壊れてはいない。

それを見て、友達が小さく笑った。

「ごめん、冗談のつもりだったんだけど」

私はブレスレットを手首につけながら言った。

「冗談でも、これはちょっと怖いかな」

友達は何も言えなかった。

さっきまで軽かった空気は、完全に消えていた。

私はバッグを持った。

帰り際、玄関で一言だけ言った。

「忘れ物って言うなら、
普通は“預かってるよ”って言うよね」

友達は小さくうなずいた。

それ以来。

私の大事な物を
「うちの子の物みたい」なんて言う人は、

私の周りから、ひとり減った。

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