夕方、仕事から帰ると、玄関の郵便受けに黄色い紙が挟まっていた。
宅配便の不在連絡票だった。
「あ、今日届く予定だったやつか」
そう思って、私は靴も脱がずにその場で紙を開いた。
荷物が届かなかったこと自体は、別に珍しくない。
配達の時間に家にいなかった私が悪い。
問題はそこではなかった。
名前の欄を見た瞬間、私は固まった。
そこに書かれていたのは、たしかに私の名字のはずだった。
私は「森」だ。
小学生でも書ける、木が三つの、あの森である。
ところが、不在票に書かれていた私の名前は、どう見ても普通の「森」ではなかった。
上に木。
下に木。
もう一つの木は、どこかへ出張している。
いや、出張どころか、存在そのものを諦められていた。
「……これ、私?」
思わず声に出た。
玄関でひとり、不在票を握ったまま立ち尽くした。
疲れていたせいか、最初は自分の目がおかしくなったのかと思った。
私は紙を少し離して見た。
近づけて見た。
斜めからも見た。
でも、どう頑張っても、そこには“森になりたかった何か”がいた。
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