定食屋で悪口を書かれた。
そう気づいたのは、昼飯を食べ終わった直後だった。
その日は朝から何もかも噛み合わなかった。
寝坊した。
電車は遅れた。
職場ではどうでもいい確認に追われた。
昼休みに入った頃には、胃袋より先に心が空腹だった。
こういう日は、洒落たカフェではだめだ。
小鉢が二つついて、味噌汁が熱くて、ご飯がしっかり盛られている店じゃないと救われない。
私は駅裏の古い定食屋に入った。
引き戸を開けると、油と味噌汁と焼き魚の匂いが一気に押し寄せてきた。
「いらっしゃい」
厨房から、短い声が飛んできた。
店内は昼時らしく混んでいた。
作業着の男性。
近所の会社員。
一人で黙々と食べる常連らしき人。
私は空いていたカウンターの端に座った。
壁の短冊メニューを見上げる。
から揚げ定食。
サバ味噌定食。
豚しょうが焼き定食。
迷った末に、私は豚しょうが焼き定食を頼んだ。
七百五十円。
今どきありがたい値段だ。
出てきた定食は、見た目からして正しかった。
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