駐車場に戻ったとき、最初に見えたのはフロントガラスに貼られた白い紙だった。
夜だった。
街灯の光が車のボディにぼんやり反射している。
私は一瞬、心臓が嫌な音を立てた。
「また違反の紙か?」
そう思って、足早に近づいた。
紙はセロハンテープで雑に貼られていた。
赤いペンの文字。
子どもが書いたような、少し大きくて、まっすぐな字だった。
私は眉をひそめながら読んだ。
「視覚障害者が点字ブロックのそばを歩いていました」
その一行で、息が止まった。
続きにはこうあった。
「そしてあなたの車にぶつかっていました」
頭の中が、すっと冷えた。
私は反射的に周りを見た。
車は道路脇に停めていた。
少しだけ、歩道にはみ出している。
いや、少しだけだと思っていた。
でも改めて見ると、車の鼻先が点字ブロックの近くまで出ていた。
黄色いブロックの線が、車の前で不自然に途切れているように見えた。
私はその場で固まった。
正直に言う。
最初の一秒だけ、私は言い訳を探した。
「ほんの少しだけだろ」
「他にも停めてる車はある」
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください