メルカリショップで、ずっと探していた竿を買った。
夜中、スマホを眺めていて見つけた一本だった。
写真の状態も悪くない。
説明文にも大きな傷なし。
値段も、悩めば悩むほど「今買わないと誰かに取られる」と思えてくる絶妙なところだった。
私は布団の中で三分ほど迷い、結局、購入ボタンを押した。
その瞬間から、気分はもう釣り場だった。
次の休みはどこへ行こう。
アジか。
メバルか。
いや、少し遠出してもいい。
まだ届いてもいない竿で、私は頭の中だけ先に三匹くらい釣っていた。
数日後、佐川の配達員さんが長い段ボールを抱えてやって来た。
待ってました。
私は玄関で受け取り、思わずにやけた。
ただ、その瞬間だった。
段ボールの真ん中あたりに、妙なへこみがあるのが見えた。
細長い箱の一部だけが、ぐしゃっと押されたように潰れている。
嫌な予感がした。
でも、こういう時の人間は希望にすがる。
「まあ、中は大丈夫でしょ」
そう自分に言い聞かせた。
竿は箱の中で守られているはずだ。
梱包材もあるはずだ。
そう信じたかった。
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