駅前のロータリーを通るたび、私は同じ場所で少しだけ身構える。
そこは、歩道の幅がただでさえ広くない。
横には店の駐車場。
前には坂道。
そして、その坂を自転車がかなりのスピードで下ってくる。
朝は通勤の人。
昼は買い物帰りの人。
夕方は学生。
小さな子どもを連れた親も通る。
本来なら、車より人が優先される場所のはずだった。
なのに、いつもそこに黒い車がはみ出している。
駐車場に収まりきっていない。
車体の前方が歩道側へ出ている。
ひどい時は、通る人が少し車道側へ避けないといけない。
最初に見た時は、たまたまだと思った。
大きい車だから、停めにくかったのかもしれない。
一回くらいなら、まあ仕方ない。
そう思おうとした。
でも次の日も同じ。
その次の日も同じ。
毎日通る私の中で、「たまたま」は静かに死んだ。
完全にいつもの光景になっていた。
ある朝、私はいつものように駅へ向かって歩いていた。
曇った空で、道路は少し暗かった。
坂の上から自転車が一台、勢いよく下りてくる。
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