朝、店に入った瞬間から、嫌な予感はしていた。
バックヤードの空気が、いつもより重い。
納品予定表を見ても、トイレットペーパーの欄だけが妙に寂しい。
棚担当のスタッフが、私の顔を見るなり小さく言った。
「店長、今日も入りません」
私は一度、目を閉じた。
昨日も同じことを聞いた。
一昨日も聞いた。
もう耳が覚えてしまっている。
「倉庫の出荷が追いついてないそうです」
そう言われても、現場の棚は待ってくれない。
開店前の売り場へ出ると、トイレットペーパーの棚は見事に空だった。
黒い棚板だけが、やけに広く見える。
本来なら、白い袋がずらりと並んでいる場所だ。
それが今は、何もない。
まるで売り場ではなく、何かの展示終了後みたいだった。
私は棚の前で立ち止まった。
そして、昨日の光景を思い出した。
開店直後。
まだレジの準備も落ち着かない時間に、数人の客がカートを押して一直線にここへ来た。
一つ、二つではない。
何十ロールも抱え込む。
棚から根こそぎ持っていく。
家族分なのか。
親戚分なのか。
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