SG最前列。鼓点、旗、声援。ここって本来「一番熱く、一番一体感がある」場所のはずなんだけど、今日いちばん胸くそ悪かったのは相手でも審判でもなく――“空席”だった。
隣の席に、でっかい荷物。ずーっと置きっぱなし。周りは立ち見でぎゅうぎゅう。通路も詰まってる。空いてるのに、誰も座れない。
これ、地味にストレスが積み重なるタイプのやつ。
試合前、まずは普通に声をかけた。礼儀は守る。サポ同士だし。
「すみません、ここ荷物どけてもらえますか?後ろの人が座れなくて…」
返ってきたのは、顔もあげずに一言。
「友達が来るから。」
はい出た。万能ワード「友達来るから」。
……じゃあ、待つよ。ほんとに来るならね。こっちだって開幕前に揉めたくない。
でも。
前半終わっても来ない。
ハーフタイムになっても来ない。
下半場始まっても来ない。
荷物だけが王様みたいに鎮座してる。
(こっちは脚パンパンなんだけど?)
(立ってる人、何十人いると思ってんの?)
(その“友達”、透明人間?)
ここで一回、再チャレンジ。言い方は崩さない。崩したら負けだと思ったから。
「すみません、もう後半ですよね。まだ来てないなら、一旦荷物だけでも…」
次の瞬間、空気が変わった。
あのおっさん、急に爆発。
「しつけえな!空いてねえっつってんだろ!」
……は?空いてるよ。目の前で。物理的に。
しかも声がデカい。周りが一斉に見る。応援の太鼓の音が一瞬遠くなるくらい、場が凍る。
ここから短句で言う。
マジでこういう瞬間、脳内が高速で回る。
・こっちはケンカしに来てない
・でもこれ放置したら“占領”が正義になる
・空席は公共
・荷物は人間じゃない
・「友達」は免罪符じゃない
私が言い返す前に、周りが動いた。
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