昼下がりの電車は、いつもより空いていた。
私は座席に腰を下ろし、スマートフォンを取り出す。
窓の外には淡い春の光が差し込み、隣の席には通勤途中のサラリーマンたちが静かに座っている。
静かな空気の中、私はふと、目の前の座席の男性に目をやった。
足を大きく開き、座っている。
内股の隙間は、まるでその存在を主張するかのように見える。
周囲の空間を圧迫し、無言の不快感を放っている。
私は一瞬、眉をひそめる。
「男、キモすぎ…」
心の中でそう呟く。
でも、声には出せない。
公共の場である以上、怒りを声にすることは許されない。
しかし視線は離せない。
彼の姿勢は、無神経さと自己顕示欲の両方を感じさせた。
私はスマホを手に取り、軽く画面を操作するふりをする。
それでも意識は彼に釘付けだ。
内股の筋肉が、座り方に影響しているのだろうか。
そう思うと、無性に呆れた気持ちが込み上げる。
電車は駅を通過する。
ドアの向こうには次の乗客が流れ込む。
私は息をひそめつつ、内心で彼に忠告する気持ちになる。
「内股の筋肉鍛えろよ」と。
もちろん、口には出せない。
あくまで心の中で、皮肉を込めて反撃するだけだ。
彼はスマホをいじり、周囲に気を配る気配もない。
足を開くその度に、周囲の空間を侵食する。
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