結婚式の撤収って、なんでこう「人間性」が出るんだろうね。
私は臨月手前。あと3週間で予定日。
式が終わった瞬間、身体はもう限界だった。
控室の椅子に腰を下ろした、その0.5秒後。
義母が、私のお腹を指さして言った。
「ほら!磨いてないで走って!バス呼んだんだから。待ってるの!」
え、走る?私?この腹で?
今、産む寸前のこの腹で?
「……無理。ちょっと座らせて」
そう言った瞬間、来た。
お腹が、ガチッて固まるやつ。
子宮が雑巾絞りみたいにギュッてなるやつ。
息を吸うだけで痛い。
背中に冷や汗。視界が白くなる。
なのに義母は止まらない。
「新婦が一番大事なの!片づけ手伝って!はい、これ!」
ドン。
私の胸に、でかい紙袋。
次に、喜糖の箱。
次に、謎に重い引き出物。
私の腕、プルプル。
足元フラフラ。
箱、落としそう。
その時、義母が低い声で刺してきた。
「妊婦だからって、甘えないで。みっともないから」
……みっともない?
私が?
今、命がかかってるのに?
周りの親戚がチラチラ見てくる。
笑ってる人もいる。
誰かが小声で「大げさ」って言ったのも聞こえた。
はい、社死。
でも、ここで私は悟った。
この場にいる人たちは、私の体調じゃなくて、
「場の空気」を守りたいだけなんだって。
視界がぐらっと揺れて、壁に手をついた。
立ってるだけで精一杯。
義母が私の腕をガッと掴んだ。
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