ディズニーの帰り。
正直、足が棒だった。
子どもは一日中はしゃいで、帰りの山手線は地獄みたいに混んでる。
ベビーカーは畳んで肩にかけ、息子は抱っこ。腕がちぎれそう。
それでも「夢の国の余韻」を守りたくて、私はなるべく笑ってた。
…その瞬間だった。
突然、後ろから手首を掴まれた。
爪が食い込むくらい強く。
「この人です!!さっき私のスマホ盗んだの!!」
車内の空気が一気に変わった。
ザワッ、じゃなくて、ボンッて爆発した感じ。
目線が刺さる。息が止まる。
「え、違います…!」
言った瞬間、自分の声が情けないくらい震えてた。
「違うって言えば済むと思ってんの?バッグ見せて!」
誰かが私の荷物に手を伸ばしてくる。
“勝手に”正義を握った手。
私は抱っこしてる息子を守りながら後ずさる。
でも満員で逃げ場がない。
説明しようとすればするほど、心が勝手に焦って、
焦るほど「怪しい人」みたいになっていく。
その時。
私の前に、スッと身体が入った。
一緒に来てた友人だった。
足が悪くて、つり革を握るだけでも大変なはずなのに、
私と息子の前に立って、片足で踏ん張ってる。
「触らないで。まず落ち着いて」
声は小さいのに、妙に通った。
さらに彼女は、さっきまで「疲れたー!」って駄々をこねてた子に、
座席を譲っていた。
その時もニコニコして、こう言ってた。
「夢の国の楽しさって、持ち帰れるでしょ。
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