ある日、私はその車を“出られないように”した。
もう我慢の限界だった。
私が契約している月極駐車場。
毎月きちんと18,000円払って借りている、私のスペース。
それなのに、この1ヶ月。
知らない車が断続的に停まっていた。
近所の無許可っぽい民泊が原因だった。
最初は貼り紙をした。
「ここは月極契約駐車場です。無断駐車はやめてください」
数日後、また停まる。
管理会社にも連絡した。
「民泊側に注意します」
変わらない。
私は毎回写真を撮っていた。
ナンバー、日時、位置。
写真で確認できただけで12日分。
そしてその夜。
また停まっていた。
私は決めた。
今日は出られなくする。
自分のバイクを契約区画内ギリギリに停めた。
一切越境なし。合法。
ただし、車は完全に出られない。
数時間後、持ち主が戻ってきた。
「ちょっと荷物下ろしただけなんで」
その一言で、1ヶ月分の怒りが全部蘇った。
「12日目です」
私は写真を見せた。
相手は黙った。
「ここは月極で18,000円。日割り600円です」
「え?」
「写真で確認できるだけで12日。
600円×12日で7,200円です」
男は明らかに焦った。
「そんなの払う義務あります?」
私は即答した。
「契約区画の無断使用です」
そして警察を呼んだ。
警察官は状況を確認し、
契約書と写真を見た。
「ここは私有契約区画ですね。無断駐車になります」
男は言った。
「でも出られないようにしてるじゃないですか」
警察官は冷静だった。
「バイクは契約範囲内。違法ではありません」
空気が変わった。
私は再度言った。
「7,200円。振り込んでください」
数分の沈黙。
そしてその場でスマホ送金。
7,200円、着金通知。
さらに私は紙を出した。
「今後一切、無断駐車を行わない」
署名。
震えた字だった。
バイクをどかすと、男は何も言わず車を出した。
それ以来、一度も停まっていない。
18,000円払って借りている場所を、
「ちょっとだけ」で使うのは違う。
600円×12日。
たった7,200円。
でも、境界線の値段だ。
あなたなら、どうしますか?