「え、これ本当に買って大丈夫なやつ?」
その日、私はただ普通に店内をぶらぶらしていただけだった。
特に何かを探していたわけでもない。
旅行先の店って、なぜか用もないのに棚を見てしまう。
お菓子、雑貨、謎のキーホルダー、見たことのない漢字の商品。
そういうのを見ながら、
「あー、こういうの好きな人いそう」
なんて思っていた。
その時だった。
棚の端に、妙に存在感のある銀色のパッケージが置いてあった。
ぱっと見た瞬間、私はこう思った。
「あ、テープ系の商品かな」
それくらい自然に手が伸びた。
パッケージには大きく、
「テープL 40mg」
と書いてある。
しかも雰囲気がそれっぽい。
青と銀の組み合わせ。
細かい説明文。
使用欄みたいな枠。
日付を書く場所まである。
完全に、何かちゃんとした商品の顔をしていた。
だから最初の1秒は、本当に疑わなかった。
「へえ、こういうのも売ってるんだ」
くらいの軽い気持ちだった。
でも、次の瞬間。
私の目がある文字で止まった。
非薬用。
ん?
非薬用?
私はパッケージを持ったまま、棚の前で固まった。
いや、待って。
40mgって書いてあるよね。
テープって書いてあるよね。
それなのに、非薬用?
この時点で、私の頭の中に小さな会議が始まった。
これは何?
どういう立ち位置の商品?
本気なの?
冗談なの?
それとも、私が何か大きな勘違いをしているの?
もう一度、落ち着いて見た。
商品名らしきところには、聞いたことのない名前。
「りみさう」
いや、何。
声に出して読んでも、ますます分からない。
その横に英字っぽい表記もある。
でも、どこか全体的にふわっとしている。
ちゃんとしているようで、ちゃんとしていない。
真面目な顔で冗談を言ってくるタイプの商品だった。
そして、さらに下を見た瞬間。
私は完全に負けた。
特徴欄みたいなところに、こう書いてあった。
「薄い」
ここまではいい。
テープなら薄いのは大事かもしれない。
貼りやすいとか、目立ちにくいとか、そういう意味なら分かる。
問題はその隣だった。
「爆弾」
いや、急にどうした。
薄い、爆弾。
この並び、あまりにも強い。
優しい顔で近づいてきたと思ったら、急に物騒な単語を置いてくる。
私はもう、商品を見ているのか、何かの大喜利を見ているのか分からなくなった。
しかも、パッケージ全体は真面目なのだ。
ふざけたポップでもない。
笑わせようとしている感じでもない。
あくまで堂々としている。
「私はこういう商品ですが、何か?」
みたいな顔で棚にいる。
その堂々さが、逆に怖い。
横にいた友人に見せた。
「これ見て」
友人は最初、適当に見ていた。
でも数秒後、同じところで止まった。
「非薬用なのに40mg?」
やっぱりそこだよね。
さらに指で下を差した。
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