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「庭から赤コア1個出てきた」少年時代になくしたバトスピの欠片を拾った瞬間、忘れてた記憶まで一気に掘り起こされた話
2026/06/14

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庭の草むしりなんて、正直やる気はなかった。

休日の朝。

母に言われた。

「そこの砂利のところ、草が伸びてるから抜いといて」

私はため息をついた。

もう大人だ。

仕事もある。

疲れもある。

それなのに、実家に帰ると一瞬で小学生扱いになる。

軍手をつけ、しゃがみ込み、砂利の間から伸びた雑草を抜いていく。

ぶちっ。

ぶちっ。

地味。

ひたすら地味。

スマホを見たい気持ちを我慢しながら、私は黙々と手を動かしていた。

その時だった。

灰色の砂利の間に、小さな赤い点が見えた。

最初は、ガラス片かと思った。

次に、プラスチックの破片かと思った。

でも、妙に透明感がある。

赤い。

丸くて、小さい。

私は指でつまみ上げた。

土が少しついていた。

光にかざした瞬間、心臓が変な音を立てた。

「……え?」

それは、バトスピの赤コアだった。

バトルスピリッツで使っていた、あの赤いコア。

少年時代、何度も指でつまんで、フィールドに置いて、ライフに並べて、スピリットに乗せていた、あの赤コア。

私はその場で固まった。

庭の砂利の上で、十数年前の自分と目が合った気がした。

一気に記憶が戻ってきた。

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小学生の頃。

友達を家に呼んで、縁側でカードを広げていた。

「俺のターン!」

「フラッシュタイミングある?」

「それ、ブロックするわ!」

今思えば、声がでかい。

ルールもだいぶ怪しい。

でも、あの頃の私たちは真剣だった。

カード一枚で世界が変わった。

コア一個で勝敗が決まった。

赤コアを一つ落としただけで、全員で探した。

「どこ行った?」

「砂利の中じゃね?」

「もう一個使えばよくね?」

そう言われて、私は少しだけ悔しかった。

あの時、本当に一個なくしたのだ。

たぶん、庭で遊んでいる最中に落とした。

探しても見つからなかった。

そのまま忘れた。

忘れたつもりだった。

でも、こいつはずっとここにいた。

雨の日も。

夏の暑い日も。

冬の霜の日も。

草に埋もれ、砂利に紛れ、家族の誰にも気づかれず。

小さな赤コアは、庭の片隅で少年時代を守っていた。

私は笑ってしまった。

いや、笑うしかなかった。

十数年ぶりの再会が、草むしり中の砂利の上。

あまりにも地味。

でも、あまりにも強い。

普通なら、なくしたおもちゃの欠片だ。

値段だってたいしたものではない。

でも、私にとっては違った。

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それは、あの頃の放課後だった。

お小遣いを握りしめてカードを買いに行った記憶。

友達とデッキを見せ合った時間。

負けて本気で悔しかった夕方。

母に「ご飯よ」と呼ばれても、あと一戦だけと粘った声。

全部が、この小さな赤い粒に詰まっていた。

私は土を払って、もう一度見た。

少し傷がある。

色も少しくすんでいる。

それでも、ちゃんと赤い。

ちゃんとコアだった。

私は急に、子どもの頃の自分に言いたくなった。

「おい、見つかったぞ」

あの時、必死で探していた自分。

もう諦めて、別のコアで代用した自分。

大人になった私は、何年も遅れてそれを拾った。

遅すぎる落とし物センターだ。

家に戻って、母に見せた。

「庭からこれ出てきた」

母は一瞬見て、首をかしげた。

「何それ?」

でしょうね。

母にとっては、ただの赤いプラスチックだ。

でも私にとっては、発掘された遺跡である。

私は説明した。

「昔、バトスピで使ってたコア」

母は「ああ、あのカードのやつね」と笑った。

その一言で、また少し胸が温かくなった。

母も覚えていたのだ。

私がカードを並べて騒いでいたことを。

庭に座り込んで遊んでいたことを。

大人になってから、昔の物に再会すると少し困る。

懐かしいだけでは済まない。

今の自分が、あの頃の自分にちゃんと顔向けできるのか、少し考えてしまう。

あの頃は、勝ち負けに本気だった。

欲しいカードのために真剣だった。

毎日が小さな大会みたいだった。

今の私はどうだろう。

仕事に追われ、通知に追われ、疲れた顔で草を抜いている。

でも、赤コアを拾った瞬間だけ、心のどこかがあの頃に戻った。

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私はそのコアを捨てなかった。

洗って、机の上に置いた。

小さな赤い粒。

庭で十年以上眠っていた、私の少年時代の忘れ物。

正直、誰かにとってはただのゴミだ。

でも、私にとっては宝物だった。

草むしりをサボろうとしていた休日。

砂利の中から出てきたのは、雑草よりずっとしぶとい思い出だった。

まさか大人になって、庭でバトスピの赤コアを回収するとは思わなかった。

人生、何が掘り出されるか分からない。

ただ一つ言える。

あの時なくしたコア、ちゃんと生きてた。

しかも、十数年ぶりに私のライフを一つ回復してくれた気がする。

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