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「4月15日に解放したトイレが無期限閉鎖」スーパーが“威力業務妨害”で警察へ報告…非常識な使い方をした客のせいで全員巻き添えになった話
2026/06/10

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その朝、私はいつものようにスーパーの開店準備をしていた。

入口の自動ドアを拭き、カゴを並べ、特売の札を確認する。

野菜売り場ではキャベツが積まれ、惣菜コーナーからは揚げ物の匂いがしていた。

何も変わらない朝だった。

ただ一つだけ、変わったことがあった。

四月十五日から、お客様用トイレを再び開放したのだ。

以前から「トイレを貸してほしい」という声は多かった。

買い物中の高齢のお客様。

小さな子ども連れのお母さん。

体調の悪そうな人。

そういう人を見るたびに、貸せるなら貸したいという気持ちはあった。

だから、店長も悩んだ末に決めた。

「ルールを守って使ってもらえるなら、開放しよう」

それが始まりだった。

最初の数日は平和だった。

普通に使われ、普通に戻ってくる。

清掃もいつも通り。

私は少し安心していた。

「やっぱり開放してよかったですね」

そう店長に言ったのも覚えている。

ところが、その安心はあまりにも早く終わった。

昼過ぎ、パートさんが真っ青な顔で事務所に飛び込んできた。

「店長、トイレ……ちょっと見てください」

その声の震え方で、ただの汚れではないと分かった。

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店長と私で向かった。

トイレの前に近づいた時点で、空気が重かった。

清掃用具を持ったパートさんが、入口で立ち尽くしている。

私は恐る恐る中をのぞいた。

そして、言葉を失った。

何がどうなったら、ここをそう使うのか。

誰が何の目的で、そんなことをするのか。

理解が追いつかなかった。

普通に使った結果ではない。

うっかり汚した、という話でもない。

明らかに、本来の使用用途とは違う。

悪ふざけ。

嫌がらせ。

あるいは、店を困らせるための行為。

そうとしか思えない状態だった。

店長はしばらく黙っていた。

その横顔が、だんだん冷えていくのが分かった。

「これは無理だな」

低い声だった。

怒鳴らないぶん、余計に怖かった。

私たちはすぐに使用を止め、清掃業者に連絡した。

その間にも、お客様から「トイレ使えますか」と聞かれる。

事情を説明できるわけもない。

「現在、使用できません」

そう答えるしかなかった。

困った顔をされるたびに、こちらも申し訳なくなる。

でも、原因を作った人間はそこにいない。

本当に困る人だけが困る。

こういう迷惑行為の一番腹立たしいところは、それだ。

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やった本人は一瞬の悪ふざけで帰る。

後始末は店。

費用も店。

苦情を受けるのも店。

そして本当に必要としていたお客様が使えなくなる。

誰が得をしたのか分からない。

ただ、全員が嫌な気持ちになるだけだ。

結局、警察へ報告することになった。

店長は防犯カメラの確認、時間帯の整理、関係者への連絡で一日中動いていた。

「威力業務妨害として相談します」

その言葉を聞いた時、私は初めて事の重さを実感した。

トイレの問題で警察。

普通なら大げさに聞こえるかもしれない。

でも、現場を見たら誰でも納得する。

これは清掃の範囲を超えている。

店の業務を止め、従業員の手を奪い、客の利用まで制限させた。

ただのマナー違反では済まない。

翌日、入口に貼り紙を出した。

大きな黒い文字で、はっきり書いた。

「この度四月十五日よりトイレの解放を致しましたが、本来の使用用途とは異なる考えられない使用をされた為、トイレは無期限の閉鎖をすることと致しました」

貼りながら、私はため息をついた。

こんな文章、人生で書くと思わなかった。

「トイレの貸出は致しません」

この一文の重さ。

本当は、貸したかった。

困っている人には使ってほしかった。

でも、一人の非常識が、その全部を潰した。

貼り紙を読んだお客様が、何人も足を止めた。

「え、何したの?」

「そんなにひどかったの?」

「スーパーがここまで書くって相当だね」

その通りだ。

相当だった。

でも、詳細を説明する気にはなれない。

説明したところで、誰も幸せにならない。

私はただ、心の中で思った。

トイレで何をしたんだよ、と。

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いや、本当に。

スーパーのトイレは、挑戦状を書く場所ではない。

自由研究の実験室でもない。

店員の忍耐力を試すアトラクションでもない。

ただ、用を足す場所だ。

それ以上でも、それ以下でもない。

今回の件で、店は完全に学んだ。

善意だけでは設備は守れない。

「普通に使ってくれるだろう」という信頼は、たった一人の非常識で壊れる。

そして壊れた信頼は、トイレットペーパーみたいにすぐ補充できない。

今後、うちのトイレは貸し出さない。

本当に必要な人には申し訳ない。

でも、あの現場を見たあとで「どうぞご自由に」とは言えない。

犯人には、ぜひ警察の前で説明してほしい。

なぜ、スーパーのトイレをそこまで怒らせたのか。

こちらとしては、もう商品よりそっちの方が気になっている。

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