「あの子、もう家に入れないで。」
冷凍庫を勝手に開けて、アイスを探しているのを見た瞬間、私はそう言った。
息子の友達の女の子。
最近、頻繁にうちに来るようになった子だ。
でも来るたびに――
引き出しを勝手に開けて、お菓子を漁る。
「これないの?」と文句を言う。
食べながらソファを汚しても、片付けもしない。
正直、最初は我慢していた。
子ども同士のことだし、
多少は仕方ないと思っていたから。
でも、違った。
これは“子どもだから”で済ませていいレベルじゃなかった。
ある日、また同じようにキッチンに立っていたその子に、私は声をかけた。
「それ、勝手に触らないでって言ったよね?」
振り返りもせず、返ってきた言葉は――
「別にいいじゃん」
そのまま袋を開けて、食べ始めた。
ポロポロと食べカスが落ちる。
それを気にする様子もない。
――3回、注意した。
全部、同じ反応だった。
ここでようやく、はっきり理解した。
これは一回の問題じゃない。
積み重なった“当たり前の無視”だ。
しかも後から聞いた話では、
この子、他の家でもすでに出禁になっているらしい。
母親は、上の子の発達を指摘されても
「うちの子は違います」と否定。
父親は「3時まで外で遊んでこい」と家から追い出すだけ。
どこに行っているかも、誰の家かも気にしない。
そして――
学校で会っても、一度も「ありがとうございます」を言われたことはない。
……ああ、そういうことか。
私は、その場では怒鳴らなかった。
ただ、その子が食べ終わるまで、静かに見ていた。
そして、帰ろうとしたタイミングで言った。
「もう、うちには来ないで。
」
その子は驚いた顔でこっちを見た。
「は?なんで?」
私は一切声を荒げずに答えた。
「人の家の物を勝手に触る。
片付けもしない。
注意してもやめない。」
「それ、うちでは許してないから。」
それ以上は何も言わなかった。
その子は何も言い返せず、無言で帰っていった。
静かになったリビングで、
息子が少し不安そうに言った。
「……でも、友達だよ?」
私はしゃがんで、目を見て言った。
「友達でもね、
人の家を大事にできない子は、入れない。」
「それは、悪いことじゃない。」
息子は少し考えてから、小さくうなずいた。
その数日後――
その子の母親と顔を合わせた。
やはり、というべきか。
「子ども同士のことじゃないですか?」
そう言われた。
私は一瞬も迷わず、答えた。
「だからこそです。」
「人の家を大事にできないなら、
出入りはさせません。」
そして、最後に一言だけ付け加えた。
「ここ、私の家なので。」
相手は何も言えなかった。
あれって、冷たいですか?
でも私は思う。
優しさって、全部を許すことじゃない。
守るべきものに線を引くことだ。
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