松屋で食券を買おうとした時の話です。
その日は仕事帰りでかなり疲れていました。
早くご飯を食べて帰りたかったので、券売機で電子決済を選び、スマホをかざしたんです。
ところが次の瞬間――
「ピーーーーーッ!!」
店内に響くほど大きなエラー音が鳴り始めました。
何事かと思って画面を見ると、
「店員にお声掛けください」
とはっきり表示されています。
だから私は言われた通りに店員さんのところへ行きました。
「すみません、券売機がエラーになったんですが……」
すると返ってきたのは予想外の言葉でした。
「隣使えるでしょ!」
一瞬、何を言われたのか分かりませんでした。
いや、確かに隣の券売機は空いていました。
でも問題はそこじゃない。
券売機に『店員に声を掛けてください』と表示されたから、その通りにしただけです。
さすがにイラッとしてしまい、
「店員に声掛けてくださいって表示されたから来たんですけど、何か問題ありましたか?」
と思わず言い返してしまいました。
すると店員さんは急に黙り込み、
「あ……」
と小さく声を漏らしたあと、少ししゅんとなった様子でエラー処理を始めました。
正直、そこで終われば私も気にしなかったと思います。
忙しい時間帯でしたし、誰だって余裕がなくなることはあります。
ところが問題はその後でした。
数分後。
無事に食券を買い終え、席で待っていると番号が呼ばれました。
私は受け取り口へ向かいました。
するとその店員さんが料理のトレーを持ってきたのですが――
ガンッ!!
思わず周囲の人が振り向くほどの勢いでトレーを置いたのです。
味噌汁の表面が大きく揺れ、
危うくこぼれそうになるほどでした。
店員さんは何も言いません。
でも明らかに不機嫌なのは伝わってきました。
私はその瞬間、
「ああ、まだ怒ってるんだな」
と思いました。
ただ、不思議と怒りは湧きませんでした。
むしろ少し呆れてしまったんです。
だって私は何も特別な要求をしていません。
無料にしろとも言っていない。
優遇しろとも言っていない。
機械に表示された通りに行動しただけです。
それなのに怒られ、
さらに料理まで乱暴に置かれる。
なんだか理不尽だなと思いました。
私は黙って席に戻り、食事を続けました。
牛めしはいつも通り美味しかったです。
ただ、その日の出来事だけは最後までモヤモヤが残りました。
接客業は本当に大変だと思います。
忙しい時間帯もあるでしょう。
嫌なお客さんに当たる日もあるでしょう。
だから多少の態度の悪さなら私も気にしません。
でも今回の件で改めて思ったのは、
ルール通りに行動した人が責められるのは違う。
ということです。
券売機が「店員に声を掛けてください」と表示した。
私はその指示に従った。
ただそれだけ。
もしそれすら面倒だと思われるなら、最初からそんな表示を出さなければいいのです。
結局、その日一番印象に残ったのは牛めしの味ではありませんでした。
エラーを起こした券売機でもなく、
店員さんの怒った顔でもありません。
私の頭に残ったのは、
「店員に声を掛けてください」
と表示しておきながら、
本当に声を掛けたら怒られたという、
何とも不思議な出来事だったのです。
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