私はもともと体が弱かった。
夫は弱精症で、結婚して三年目にようやく娘を授かった。
けれど出産は壮絶だった。
難産の末、私は命を落としかけ、医師からは「今後の妊娠は難しいでしょう」と告げられた。
産後の私を心配した義母は、家政婦を一人紹介してくれた。
最初の二週間は本当に感謝していた。
男の子でも女の子でも気にせず、私の体を気遣ってくれているのだと思っていたからだ。
ところが、その考えは間違っていた。
ある夜、二階のトイレから物音が聞こえて目を覚ました。
「まだ起きてるの?」
そう声をかけると、返事をしたのは夫ではなく家政婦だった。
「生理になってしまって、ナプキンを探していたんです。」
私は違和感を覚えた。
一階にもトイレはある。
それなのに、なぜわざわざ二階の主寝室横のトイレを使う必要があるのだろう。
気になって部屋を出ると、廊下には夫の姿があった。
スマートフォンを見ていた夫は、私に気付くと慌てて画面を消し、そのまま寝たふりをした。
胸の奥に小さな不信感が芽生えた瞬間だった。
翌朝、家政婦が買い物へ出かけた後、私は義母に話を切り出した。
「家政婦さんを別の方に変えていただけませんか?」
すると義母は露骨に不機嫌な顔をした。
「たまたま二階のトイレを使っただけでしょう?考えすぎよ。」
私は静かに答えた。
「昨夜、一階のトイレの電気は一度もついていませんでした。」
義母は一瞬言葉に詰まったが、すぐに話題を変えた。
私は夫にも同じことを聞いた。
しかし夫は曖昧な態度を取り続け、家政婦をかばうばかりだった。
その時にはもう、義母と夫が同じ方向を向いていることを感じていた。
その日の夜から、私は娘を自分の隣で寝かせるようにした。
家政婦にはなるべく娘を触らせないようにした。
夫にも別のベッドで寝てもらった。
その夜は激しい雷雨だった。
突然、寝室のドアが開いた。
入ってきたのは家政婦だった。
「赤ちゃんが驚いていないか心配で見に来ました。」
私は思わず声を強めた。
「勝手に寝室へ入るのはやめてください。」
家政婦は困ったような顔をした。
「私はただ心配で……」
そこへ夫がやって来た。
事情を聞く前に、夫は家政婦の肩を持った。
「そこまで怒ることか?」
「少し神経質になりすぎだよ。
」
その言葉を聞いた瞬間、私は深く失望した。
もう何を言っても無駄なのだと思った。
そんな頃、気がつけばお盆が近づいていた。
義父が出張のついでに数日間うちへ泊まりに来ることになった。
義父は昔から女性関係が派手なことで有名だった。
年齢の割に若く見え、女性の好みも特にない人だった。
義父が到着した日、私はわざと家政婦を褒めた。
「本当に働き者なんです。料理も上手で、家のことを何でもやってくれるんですよ。
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