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「600mだけで悪かったですね」足の悪い母をタクシーに乗せた瞬間、運転手の態度が変わった
2026/04/27

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「500円です」

実家の前に着いた瞬間、運転手さんが初めて口を開いた。

それまでずっと無言だった。

駅から実家までは、距離にして600mくらい。

普通に歩ける人なら、
「それくらい歩けば?」
と思う距離かもしれない。

でも、その日は母が一緒だった。

母は足が悪い。

ゆっくり歩けば行けない距離ではない。
だけど、段差もある。
人通りもある。
荷物もある。
何より、無理をさせたくなかった。

だから私は駅前でタクシーを拾った。

ドアが開いて、母を先に乗せた。

「すみません、近いんですけど、〇〇の方までお願いします」

そう言った瞬間だった。

空気が変わった。

返事がない。

聞こえていないのかと思って、もう一度場所を伝えた。

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それでも返事はない。

ミラー越しに見える表情も、明らかに不機嫌そうだった。

まあ、気のせいかもしれない。

近距離の客が続いて疲れているのかもしれない。

そう思って、私は黙っていた。

でも、母が小さな声で言った。

「すみません、次の角を左に曲がってください」

無言。

「その辺りでお願いします」

無言。

母は、少し申し訳なさそうに笑った。

その顔を見た瞬間、私は胸の奥がぎゅっとなった。

母は悪いことなんて何もしていない。

ただ、足がつらいからタクシーに乗っただけ。

それなのに、まるで迷惑をかけたみたいに、小さくなって座っていた。

実家の前で車が止まった。

運転手さんは、こちらを見ないまま一言。

「500円」

本当に、それだけだった。

「ありがとうございました」もない。

「お足元お気をつけて」もない。

近い距離ですみません、と母が先に言った。

でも返事はなかった。

私は料金を払って、領収書を受け取った。

母を降ろして、玄関までゆっくり歩かせた。

その間、母は何も言わなかった。

家に入ってから、やっとぽつりと言った。

「近いと、やっぱり嫌なのかね」

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その言葉で、私は一気に腹が立った。

違う。

母が気にすることじゃない。

600mだろうが、6kmだろうが、客は客だ。

タクシーは、歩くのが大変な人のためにもある。

高齢の人。
足がつらい人。
荷物が多い人。

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