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「不起訴で終わりにできると思うな」川口駅で受けた選挙妨害が紙1枚で処理された日、私は当時の記録を全部並べ直した
2026/06/15

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久しぶりに山口の家へ戻った。

玄関を開けた瞬間、少し懐かしい匂いがした。

郵便物がいくつか溜まっている。

チラシ。

案内。

事務的な封筒。

その中に、一通だけ妙に重い封筒があった。

差出人は、さいたま地方検察庁。

赤い文字で「簡易書留」。

私はその場で足を止めた。

ああ、あの件だ。

すぐに分かった。

昨年の参議院選挙。

川口駅前で街頭活動をしていた時のこと。

あの時、私は普通に訴えを届けようとしていただけだった。

マイクを持ち、通りかかる人に頭を下げ、政策を話す。

選挙とは本来、そういうものだと思っている。

賛成もある。

反対もある。

厳しい声もある。

それは当然だ。

でも、あの日の現場は、意見の違いという言葉だけでは片づけられなかった。

声がぶつけられた。

近距離で妨げられた。

こちらの演説が届かないようにされる。

支援者の表情も強ばっていた。

スタッフの動きも乱れた。

通行人は何事かと足を止める。

駅前の空気が、一気にざらついていった。

私はその時、腹が立つより先に怖かった。

選挙活動をしているだけなのに、なぜここまでされるのか。

意見が違うなら、言葉でぶつければいい。

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主張があるなら、堂々と述べればいい。

でも、妨害で相手の声を消そうとするのは違う。

それは民主主義の議論ではなく、ただの力比べだ。

だから私は被害届を出した。

簡単な気持ちではなかった。

警察に話す。

状況を整理する。

当日の記憶を思い出す。

何が起きたのかを、もう一度言葉にする。

それだけでも、かなり消耗した。

それでも必要だと思った。

今後の選挙活動のためにも。

同じようなことが、他の候補者やスタッフに起きないようにするためにも。

そして今、その結果が封筒の中に入っている。

私は深呼吸して、封を開けた。

中から出てきたのは、処分通知書だった。

日付。

事件番号。

罪名。

公職選挙法違反。

そして、処分区分。

そこに印字されていた文字を見た瞬間、胸の奥が冷えた。

不起訴。

予想していなかったわけではない。

どこかで、そうなる可能性は考えていた。

証拠の評価。

立件の壁。

捜査機関の判断。

こちらがどれだけ深刻に受け止めていても、法律上の判断は別にある。

それは理解している。

理解はしている。

でも、納得できるかは別だった。

あれだけのことがあって。

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あの場で実際に妨げられて。

選挙活動に影響が出て。

それでも、最終的には「不起訴」。

紙の上では、たった三文字。

でも、その三文字の重さは、思った以上だった。

私は通知書を机に置き、しばらく眺めていた。

怒りがじわじわ湧いてきた。

同時に、無力感もあった。

こちらは正規の手続きで訴えた。

被害を説明した。

判断を待った。

そして返ってきたのが、この一枚。

あまりにも淡々としていた。

もちろん、検察にも検察の判断がある。

感情で処分を決められないことも分かる。

ただ、選挙活動への妨害が軽く扱われてしまえば、次に現場へ立つ人たちはどうなるのか。

また同じことが起きた時、誰が守ってくれるのか。

候補者だけではない。

スタッフもいる。

支援者もいる。

たまたま近くにいた有権者もいる。

選挙の現場は、紙の上の制度だけで成り立っているわけではない。

駅前で。

街角で。

人の前に立って。

声を届けることで成り立っている。

その声を妨げる行為に対して、もっと明確な線を引いてほしかった。

私は通知書を封筒に戻した。

でも、気持ちは戻らなかった。

この件は、私一人の悔しさで終わらせてはいけないと思った。

反対意見はあっていい。

批判もあっていい。

むしろ政治に批判がない方が怖い。

でも、批判と妨害は違う。

言論と威圧は違う。

選挙の自由を守るというなら、そこは曖昧にしてはいけない。

山口の静かな部屋で、私はもう一度通知書を見た。

不起訴。

その文字は変わらない。

でも、こちらの記憶まで消えるわけではない。

川口駅で起きたこと。

あの時の空気。

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スタッフの緊張。

有権者の戸惑い。

それらは、紙一枚でなかったことにはならない。

だから、私は黙って終わらせない。

怒鳴るのではなく、記録として残す。

感情だけで騒ぐのではなく、次の選挙活動を守るために考える。

今後、同じような妨害が起きた時、何を証拠として残すべきか。

どう対応すべきか。

どこに訴えるべきか。

今回の悔しさを、ただの悔しさで終わらせない。

封筒を閉じたあと、私は小さく息を吐いた。

久しぶりに帰った家で、待っていたのは懐かしい空気ではなく、現実の冷たい通知だった。

でも、これで終わりではない。

選挙は、誰かの声を力で消す場ではない。

その当たり前を守るために、これからも私は立つ。

たとえ紙の上で「不起訴」と書かれても、あの日受けた重さまで、不起訴になるわけではない。

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