2011年、東日本大震災。
あの日、
俺は両親を亡くした。
兄の義両親も、
兄夫婦も、
みんな津波に飲み込まれていった。
一瞬で、家族が消えた。
残されたのは、
兄夫婦の娘だけだった。
奇跡的に、その子だけが助かった。
あの日、
たまたま体調を崩して
病院に入院していたからだ。
もしあの日、
家にいたら――
きっと助からなかった。
俺にはその子しかいなかった。
そして
その子にも、俺しかいなかった。
俺は独身だった。
子育てなんて、
何一つわからなかった。
オムツの替え方も、
ミルクの量も、
夜泣きの理由も。
何も知らなかった。
それでも
必死だった。
仕事が終わって
急いで保育園に迎えに行く。
夜は寝かしつけて、
洗濯して、
弁当の準備をして。
気づいたら
毎日ヘトヘトだった。
しかも女の子だ。
どう育てればいいのか
正直、ずっと不安だった。
俺の仕事は
給料の高い仕事じゃなかった。
周りの同級生たちは
ゲーム機を持っていたり
新しい服を着ていたり。
でも
うちには余裕がない。
欲しいと言われても
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください