空港の待合室。朝の便で混雑している中、私は座席に座ってスマホをいじっていた。
周りはまだ寝ぼけ眼の人もいれば、出張の資料をチェックしている人もいる。
私はコーヒーを飲みながら、次のフライトまでの時間をやり過ごすつもりだった。
ふと、ウォーターサーバーの方を見ると、違和感があった。
みんな立ち止まっている。コップを手に持って待っている人、ため息をついて引き下がる人。
「なんで誰も水を飲めないんだ……?」
好奇心と軽い苛立ちで近づくと、視界に飛び込んできたのは、信じられない光景だった。
白いコンセントがスッと抜かれ、その人は自分のスマホを差し込んで充電している。
「え……ちょ、ちょっと待って?」
周りの人たちも同じように目を見開いている。
私は座席から立ち上がり、怒りが胸の中で一気に沸騰した。
「マジかよ、みんなが使えないのに、自分だけ……?」
頭の中で言葉がぐるぐる回る。
怒り、呆れ、そして少しの諦め。
こんな馬鹿な行為を注意しても無駄なのか?
いや、黙って見ているわけにはいかない。
私は深呼吸して、心の中で戦略を練った。
「声を上げるんだ。周りの人も味方につければ、状況は変えられる。」
意を決して、大きめの声で言った。
「すみません、そのコンセント、みんなで使えませんか?」
その瞬間、周囲が一斉にこちらを見た。
彼は一瞬フリーズしたように手を止め、表情が凍る。
「え……あ、いや、ちょっと……」
口ごもる声が聞こえた。
私はもう一歩前に出る。
「みんな困ってますよね?順番で使えばいいだけじゃないですか。」
周りの人たちも頷き始め、自然と「そうだよね」との空気が生まれる。
彼は眉をひそめて、渋々スマホを抜き、隣に譲った。
その瞬間、待合室の空気が一変した。
困惑していた人たちの表情が緩み、拍手する人まで出てきた。
私は心の中でガッツポーズ。
怒りは爽快感に変わり、胸がスカッとした。
「あー、やっと全員使える……」
私は静かにコップを手に取り、水を注いだ。
冷たい水が喉を通ると、怒りと緊張が一気に流れていくようだった。
思った。
こういう自己中心的な人間は、放っておくと何度も同じことを繰り返す。
でも、声を上げて周りと連帯すれば、状況は一瞬で変えられる。
そして、その反応を見る瞬間が一番気持ちいい。
私は心の中で皮肉を言った。
「自分だけ良ければいいって?いい加減、世の中はそんなに甘くないんだよ」
スマホを置き、ベンチに座り直す。
隣の人が「ありがとう」と小さく笑いかけてくれた。
私はニッコリ返す。
これが小さな正義の勝利だ。
空港の一角で、たった一声で秩序を取り戻したこの感覚。
怒りと諦めが混ざった瞬間の反撃の爽快感。
自分だけ良ければいい人に、こうして「打ちのめせる」瞬間。
心の中で、勝利をかみしめた。