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「新幹線に座った瞬間、隣の男の裸足が私の膝に触れた。」しかも窓に足を乗せ、足の裏をこちらに向けて動かしてくる。注意すると笑われ、周囲からは「若い子ってすぐ騒ぐよね」。その時、後ろの席がゆっくり動いた。
2026/03/15

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新幹線に座った瞬間、隣の男の裸足が私の膝に触れた。

思わず視線を下げる。
窓の下の小さな棚に、男の足が乗っていた。

しかも――
足の裏が、完全にこちらを向いている。

一瞬、状況が理解できなかった。

「……え?」

足の指がゆっくり動いた。
そして、私の膝にまた触れた。

偶然じゃない。
明らかに触れている。

私は小さく息を吸って言った。

「すみません、足当たってます」

男は一瞬だけこちらを見た。
面倒くさそうな顔だった。

「……ああ」

そう言って足を引いた。

私は内心ほっとする。
新幹線は満席で、これから二時間以上はこの席に座る予定だった。

でも――

三十秒後。

また、足が窓の棚に乗った。

今度は、さっきより大きく。

足の裏がこちらを向き、

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そしてゆっくりと動いた。

膝に触れる。

完全にわざとだった。

私はもう一度言った。

「やめてください」

男は笑った。

「触ってねぇだろ」

そしてさらに足を伸ばす。

さっきよりも大胆に。
足の裏が、私の膝のすぐ前まで来た。

その時だった。

後ろの席から声がした。

「それくらいで騒ぐ?」

別の声。

「若い子ってすぐ騒ぐよね」

私は一瞬、言葉を失った。

え?

さっきまで、
ただ隣の男の足が当たっているだけだったはずなのに、

いつの間にか、
私が“神経質な人”みたいになっている。

男はその空気を楽しんでいるようだった。

ニヤッと笑う。

そしてまた、足を動かした。

膝に触れる。

私は、静かに言った。

「くさいんですけど」

その瞬間だった。

車内が、ぴたりと静まった。

さっきまで聞こえていた
スマホの動画の音や、会話が、急に遠くなる。

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男の顔が変わった。

「……は?」

私はもう一度言った。

「臭いんです」

男は立ち上がった。

「おい」

声が低くなる。

「公共の場で騒ぐなよ」

そう言いながら、
私の席の横に立った。

通路を塞ぐ形になる。

完全に挑発だった。

周りの人も黙っている。

誰も助けない。

男は私を見下ろして言った。

「お前さ、態度悪くね?」

その時だった。

後ろの席で、

椅子がゆっくり動く音がした。

ギシッ。

車内の空気が変わる。

私は振り向かなくてもわかった。

父だった。

ゆっくりと立ち上がる。

父は身長185センチ、体重は100キロ近い。

昔ラグビーをやっていた人で、
今でも肩幅がとんでもなく広い。

父が通路に出ると、
さっきまで強気だった男の背中が、少しだけ固くなった。

父は何も言わず、
男の前に立った。

それだけで、車内が静まり返る。

男が言う。

「……なんですか」

父は男の顔を見た。

それから、
ゆっくりと足元を見た。

そして一言だけ言った。

「足、どけろ」

それだけだった。

大声でもない。
怒鳴ってもいない。

ただの一言。

でもその声は、
妙に低くて、静かだった。

男の顔が一瞬固まる。

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数秒の沈黙。

そして男は、

ゆっくり席に座った。

足を下ろす。

さらに、

靴を履いた。

誰も何も言わない。

さっきまで
「若い子ってすぐ騒ぐよね」と言っていた人も、

完全に黙っていた。

父は私をちらっと見て言った。

「最初から呼べ」

それだけ言うと、
何事もなかったように席に戻った。

その後。

男は一度も足を動かさなかった。

二時間の移動の間、
ずっと背筋を伸ばして座っていた。

窓の棚には、
何も乗っていなかった。

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