水漏れで「15万円払え」と言われて、被害者なのに“請求された側”になった。
上の階から水が漏れてきた。
床は濡れて、壁もシミになっている。
明らかにこっちは被害側なのに——
「調査費用として15万円ご負担いただきます」
淡々とそう言われた。
一瞬、意味が分からなかった。
「え、なんで私が払うんですか?」
そう聞くと、返ってきたのは決まりきった説明だった。
「原因が特定されるまでは、申告された方が立て替えるルールです」
“ルールです”
その一言で押し切る感じ。
正直、空気的に断りづらかった。
専門用語で説明されて、
流れ的にも「払う前提」で話が進んでいく。
そのままサインしかけた。
でも——
どうしても引っかかった。
上から水が来てるのに、
なんでこっちが15万円?
おかしい。
私は手を止めて言った。
「その15万円、保険でカバーされますよね?」
その瞬間——
空気が変わった。
さっきまでスラスラ説明していた担当者が、
一瞬言葉に詰まった。
でもすぐに立て直してきた。
「特約はありますが、申請が通るか分かりませんので」
そして続けた。
「一旦お支払いいただいて、後から保険で回収する形になります」
——出た。
“とりあえず払え”の流れ。
ここで引いたら終わる。
私ははっきり言った。
「違いますよね」
「補償範囲に入っているなら、先払いする義務はないですよね?」
相手、少し沈黙。
でも、まだ終わらない。
「ただし修理費は別になります」
また別請求。
完全に分けて取る流れ。
でもそれも通らない。
「それも共用部が原因なら保険対象ですよね?」
さらに追い打ち。
「施設賠償責任保険でカバーされるはずです」
ここで、完全に流れが変わった。
担当者のトーンが明らかに落ちた。
そして最後に、もう一つ。
「保険請求って、3年以内なら遡れますよね?」
その瞬間——
完全に止まった。
数秒の沈黙のあと、担当者は小さく息をついた。
「……分かりました」
「今回は保険適用で進めます」
その一言で、すべて終わった。
結果——
私は1円も払っていない。
もしあのまま、
何も言わずにサインしていたら。
違和感を無視していたら。
15万円、普通に払っていた。
そしてたぶん、
「あとで戻るかも」で終わっていた。
でも現実は違った。
知らないと払う。
知ってると止められる。
それだけ。
こういうのって、全部同じだと思う。
最初から“払わせる前提”で話が進む。
でも、突っ込まれると止まる。
つまり——
知らない人だけが払う仕組み。
でも逆に言えば、
知っていれば守れる。
あのとき止まってよかった。
たった一言で、
15万円が消えた。
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