「小6娘の卒業アルバム、10,900円請求された。」
しかもよく見ると、本当の金額は20,900円。区の補助で1万円引きになっているだけだった。
公立小学校なのに正直きつい。今回は見送ろうと思っていた。
するとクラスで先生が言ったらしい。
「思い出だからね。みんな買うよ」
そして娘の方を見て、
「○○さんは買わないの?」
その瞬間、教室の視線が一斉に娘に集まったという。
それを聞いた私は、その日のうちに学校へ行くことにした。
娘からその話を聞いたとき、私は一瞬言葉を失った。
確かに卒業アルバムは思い出だ。
できれば買ってあげたい。でも現実問題として、2万円近い出費は簡単ではない。
しかもこれは義務ではない。プリントにもはっきり「購入は任意」と書いてある。
それなのに、クラスであんな言い方をされたら、子どもはどう感じるだろう。
娘は少し笑いながら言った。
「別に大丈夫だよ」
でも、そのあと小さく付け足した。
「みんな、私のこと見てた」
その言葉を聞いたとき、胸の奥がじわっと熱くなった。
私はその日の午後、仕事を早めに切り上げて学校へ向かった。
職員室で名前を伝えると、担任の先生が出てきた。
まだ若い先生で、どちらかといえば普段は穏やかな印象だった。
私は落ち着いて話し始めた。
「卒業アルバムの件で少しお聞きしたいことがあります」
先生は少し驚いた顔をしたが、すぐに頷いた。
私は娘から聞いた話をそのまま伝えた。
クラスでの発言。
「思い出だからね。みんな買うよ」
そして娘への「○○さんは買わないの?」という言葉。
先生の表情が少しずつ曇っていく。
「そういうつもりでは……」
先生はそう言いかけた。
だが私は静かに聞いた。
「購入は任意ですよね?」
先生は一瞬黙った。
そのとき、後ろから声がした。
「どうしましたか?」
振り向くと、校長先生だった。
事情を簡単に説明すると、校長先生はすぐに状況を理解したようだった。
そして担任の先生に向かって、はっきりと言った。
「卒業アルバムの購入は任意です」
「購入しない家庭にプレッシャーをかけるような発言は、適切ではありません」
職員室の空気が一瞬止まったように感じた。
担任の先生は、何も言えなくなっていた。
校長先生は私に向き直り、丁寧に頭を下げた。
「不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。こちらでも事実関係を確認します」
私は大事にしたいわけではなかった。
ただ、子どもが教室であんな思いをする必要はないと思っただけだった。
その翌日、学校から連絡があった。
校長先生だった。
「昨日の件ですが、校内で確認しました。やはり不適切な発言でした」
さらに数日後、学校から正式な説明があった。
担任の先生は指導を受け、しばらくの間、娘のクラスの担任を外れることになったという。
突然の変更に、保護者の間でも少し話題になった。
娘はその話を聞いて、驚いた顔をしていた。
「先生、いなくなっちゃうの?」
私は少し迷ってから答えた。
「誰かを困らせるつもりじゃなかった。ただ、間違っていることはそのままにしちゃいけないと思っただけ」
娘はしばらく考えてから、小さく頷いた。
その後、クラスには別の先生が入ることになった。
卒業アルバムの話も、もう誰も口にしなくなった。
数日後、娘が学校から帰ってきて言った。
「今日ね、新しい先生が言ってた」
「アルバムは任意だから、無理に買わなくていいよって」
その言葉を聞いたとき、少しだけ肩の力が抜けた。
思い出は大事だ。
でも、それを強制されるものではない。
そしてもう一つ。
子どもが教室で一人だけ居心地の悪い思いをするような空気は、本来あってはいけない。
娘は今、卒業式を楽しみにしている。
アルバムがあってもなくても、
小学校の思い出はちゃんと心の中に残るはずだから。
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