彼女がシャワーを浴び終わったあとだった。
服を少しめくった瞬間、
私は思わず息を止めた。
胸の下に、
真っ赤な発疹が帯のように広がっていた。
しかも普通じゃない。
無数の水ぶくれが、
まるで誰かの指が肋骨を掴んでいるみたいに並んでいた。
「痛い……」
彼女は顔をしかめながら、
患部を押さえた。
「なんか、ずっと締め付けられてる感じする……」
翌日、
病院で診察を受けると、
医者はあっさり言った。
「帯状疱疹ですね」
疲労やストレス、
免疫低下で起きる、
珍しくもない病気。
薬を出され、
「しばらく安静にしてください」
と言われて終わった。
この時はまだ、
私たちもそこまで深刻には考えていなかった。
異変が始まったのは、
その夜からだった。
深夜。
隣で寝ていた彼女が、
突然苦しそうに呻き始めた。
「やめて……っ……苦しい……」
汗びっしょりだった。
私は慌てて起こした。
すると彼女は、
青ざめた顔でこう言った。
「また、あの夢……」
暗闇の中で、
知らない男が後ろから抱きついてくる夢。
しかも、
腕が異様に冷たく、
どんどん力を強めてくるらしい。
「腰を掴まれて、
息できないくらい締め付けられるの……」
私は冗談っぽく笑った。
「ホラー動画見すぎじゃない?」
でも彼女は、
まったく笑わなかった。
それから毎晩だった。
眠るたび、
同じ夢を見る。
しかも、
帯状疱疹もどんどんおかしくなっていく。
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