車にボールをぶつけた子どもを注意したら、翌日、仲間を連れてうちの防犯カメラに中指を立てに来た。
最初は信じられなかった。
数日前、放課後になると近所の小学生が五、六人集まり、家の前の道路でサッカーを始めた。何度も危ないと思っていたが、その日ついにボールが私の愛車へ直撃した。
慌てて外へ出た私は、「ここでは遊ばないでね。車に当たると危ないから」と落ち着いて声を掛けた。
怒鳴ってもいない。
脅してもいない。
それだけだった。
ところが翌日、防犯カメラを確認すると驚く光景が映っていた。
子どもたちはわざわざ私の家の前へ集まり、防犯カメラを見つけると一人ずつ笑いながら中指を立て、あっかんべーをし、変なポーズを取り始めた。
「ほら映ってるぞ!」
そんな声まで聞こえてくる。
完全に面白がっていた。
あまりにも悪質だったので保護者へ事情を説明した。
しかし返ってきたのは謝罪ではなく、
「子どもなんだから、そのくらいで騒がないでください。」
「防犯カメラで子どもを監視する方がどうかと思いますよ。」
という言葉だった。
私は反論しなかった。
その代わり、防犯カメラの映像を一週間分すべて確認した。
すると車にボールが当たる瞬間だけではなく、敷地へ無断で入る様子、インターホンを押して逃げる姿、防犯カメラへ向かって中指を立てる様子まで、日時付きではっきり残っていた。
さらにディーラーへ車を持ち込むと、ボディーには小さなへこみと塗装の傷が見つかり、修理には八万七千円かかるという見積書が出た。
私は映像と修理見積書を持って学校へ相談した。
学校はすぐに事実確認を行い、映像を確認した先生は「これはいたずらでは済みません」と表情を変えた。
数日後、保護者全員が学校へ呼び出された。
映像が再生されると、それまで「子どもだから」と言っていた保護者たちは誰一人言い返せなかった。
学校からは厳重な生活指導が行われ、子どもたちは私の前で頭を下げて謝罪した。
さらに保護者も修理代を全額負担すると申し出て、その場で正式に謝罪した。
それ以来、放課後に私の家の前へ集まる子どもは一人もいなくなった。
以前は笑いながら中指を立てていた子どもたちも、今では家の前を通るたびに静かに頭を下げて通り過ぎていく。
「子どもだから」で済ませれば、子どもは善悪を学ぶ機会を失う。
一番責任を果たすべきなのは、子どもではなく大人なのだと、私はあの出来事で強く感じた。
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