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寿司屋の湯呑みに油が浮いていた→店員「問題ありません」→「じゃあ飲んでみて」と渡したら店内がざわついた
2026/03/05

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その日、私はただ寿司屋でお茶を飲もうとしただけだった。

それが、店中がざわつく騒ぎになるとは思っていなかった。

買い物の途中、ふと立ち寄った回転寿司チェーン。
昼時でそこそこ混んでいたが、私はカウンター席に案内された。

席に座ると、いつものように湯呑みが置いてある。
私は何も考えず、お湯の蛇口をひねってお茶を入れた。

その瞬間だった。

「……ん?」

湯呑みの表面に、何かが浮いている。

最初は小さな虫でも入っているのかと思った。
しかしよく見ると違う。

表面に、薄い膜のようなものが広がっている。
光に当たると、虹色にゆらゆらと揺れている。

油だ。

どう見ても油だった。

私は思わず顔をしかめた。

「なんだこれ……」

さすがに気持ち悪くて、その湯呑みは使う気になれない。

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私は新しい湯呑みを取った。

そしてもう一度お湯を注ぐ。

すると——

また油膜が浮いた。

私は少しイラッとした。

「……まさか全部こうなのか?」

念のため、三つ目の湯呑み。

お湯を注ぐ。

やっぱり同じだった。

さすがにおかしい。

私は席を立ち、近くの店員に声をかけた。

「すみません、この湯呑みなんですけど」

店員は近づいてきて、湯呑みを覗き込む。

私は指差した。

「これ、油浮いてますよね?」

店員は一瞬だけ見て、すぐに言った。

「問題ありません」

……は?

私は思わず聞き返した。

「いや、これ油ですよね?」

しかし店員は平然としている。

「食洗機で洗っていますので、大丈夫です」

まるで「面倒な客だな」と言いたげな口調だった。

私は少しムッとした。

「じゃあ、これ飲んでみてください」

そう言って湯呑みを差し出した。

店員は一瞬固まった。

「……いえ、それは」

私は続けた。

「問題ないんですよね?」

店員は目を逸らした。

「こちらで交換いたしますので」

私はさらに言った。

「交換じゃなくて、飲めるかどうか聞いてるんです」

店員は完全に黙った。

その様子を、隣の客が見ていた。

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「どうしました?」

私は湯呑みを見せた。

「これ、油浮いてるんですよ」

その人は顔を近づけて見た。

「……うわ、本当だ」

向かいの席の客も覗き込む。

「え?なにそれ」

周りの客が次々と湯呑みを確認し始めた。

すると——

「え、うちのも油ある」

「ほんとだ」

「なんだこれ」

店内が一気にざわついた。

さっきの店員の顔が引きつる。

そのとき、後ろの席から声が上がった。

「その店、前もそうだったよ」

振り向くと、年配の男性が苦笑していた。

「この店舗、たまにあるんだよ。洗い方雑で」

ざわめきがさらに広がる。

さすがにまずいと思ったのか、別の店員が慌てて奥へ走っていった。

数分後。

店長らしき人物が出てきた。

「どうされましたか?」

私は湯呑みを差し出した。

「全部これなんですけど」

店長は表面を見て、表情が変わった。

「……少々お待ちください」

そう言って厨房へ消えた。

店内はざわざわしている。

「怖いなこれ」

「皿も大丈夫かな」

「洗えてないんじゃない?」

しばらくして、店長が戻ってきた。

そして深く頭を下げた。

「大変申し訳ございません」

店内が静まり返る。

店長は続けた。

「洗浄機の洗剤が切れておりました」

客席から小さなどよめき。

さらに店長は言った。

「加えて、すすぎの設定も弱い状態になっておりました」

つまり——

まともに洗えていなかったということだ。

店長は再び頭を下げた。

「本当に申し訳ございません」

そして店員に指示を出した。

「すべての湯呑みを交換してください」

店員たちが慌てて動き始める。

そして店長はマイクを手に取った。

「本日ご来店のお客様へお知らせいたします」

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店内が静かになる。

「本日の不手際のお詫びとして、本日はお飲み物を無料とさせていただきます」

小さな拍手が起こった。

私は新しい湯呑みを取った。

今度は油膜はない。

やっと普通のお茶が飲めた。

ふと、さっきの店員を見る。

さっきまで「問題ありません」と言っていたその人は、
こちらを見て、気まずそうに目を逸らした。

私は湯呑みを持ち上げながら思った。

もしあのとき、

「じゃあ飲んでみてください」

と言わなかったら——

きっとこの問題は、
誰にも気づかれないままだったのかもしれない。

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