朝、出かけようとして玄関を開けた瞬間、妙な違和感があった。
いつも置いてあるバイクのハンドル周りに、見慣れない紙が挟まっていた。
最初はチラシかと思った。
風で飛んできたのかもしれない。
そう思って近づいた。
でも違った。
紙は、しっかりと車体に貼りつけられていた。
赤や黄色の派手な色。
電話番号。
「査定」
「高価買取」
そして、手書きらしき金額。
四十万円。
私はその場で固まった。
いや、待て。
ここは道路ではない。
駐輪場でもない。
私有地だ。
家の敷地内だ。
つまり、誰かが勝手に入ってきて、勝手に私のバイクを見て、勝手に値段をつけて、勝手に紙を貼っていったということになる。
気持ち悪い。
その一言しか出てこなかった。
チラシをポストに入れるのとは訳が違う。
敷地に入っている。
車体に触っている。
しかも、査定額まで書いている。
「あなたの物、見ましたよ」
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