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「覚悟はできていますか。後悔しないでくださいね」最後の脅迫状がポストに届いた瞬間、私はもう黙るのをやめた。これまで届いた手紙をすべて証拠としてそろえ、日付と筆跡まで残して明日提出する準備をした時、ただの嫌がらせでは済まない空気に変わった。
2026/07/06

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最初にその手紙を見た時、私はしばらく動けなかった。

白い紙。

細い文字。

丁寧に書かれているのに、内容だけが異様だった。

「なおさんへ」

そう始まっていた。

そして、その下にこう書かれていた。

「覚悟はできていますか」

「後悔しないでくださいね」

読み終わった瞬間、背中が冷たくなった。

怒りより先に、怖さが来た。

誰が。

なぜ。

いつから。

その言葉ばかりが、頭の中をぐるぐる回った。

最初の一通目は、まだ我慢できた。

嫌な感じはしたけれど、ただの悪ふざけかもしれない。

誰かが感情的になって書いただけかもしれない。

そう思い込もうとした。

でも、二通目が来た。

三通目が来た。

内容は少しずつ変わった。

けれど、共通していたのは、私を不安にさせる言葉だった。

直接的に何かを言わなくても、読んだ人間の心を削る。

そういう書き方だった。

私はしばらく、誰にも言えなかった。

大げさだと思われるかもしれない。

気にしすぎだと言われるかもしれない。

相手を刺激したら、もっとひどくなるかもしれない。

そう考えると、ポストを見るだけで息が苦しくなった。

郵便受けの音がするたびに、心臓が跳ねた。

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玄関に行くのが怖くなった。

夜、カーテンの隙間が気になった。

外の足音に、何度も耳を澄ませた。

でも、今回の手紙を見た瞬間、私の中で何かが変わった。

「覚悟はできていますか」

その一文は、もう“いたずら”では済まない。

私は紙を握りつぶしそうになった。

でも、すぐに手を止めた。

捨ててはいけない。

破ってはいけない。

感情で動いたら、証拠が消える。

私は手紙に直接触れるのをやめ、スマホで写真を撮った。

全体。

文字。

署名。

紙の折り目。

封筒があれば封筒も。

消印があるものは消印も。

届いた日付もメモした。

そして、これまで届いた手紙を全部出した。

引き出しの奥にしまっていたもの。

怖くて見返せなかったもの。

忘れたふりをしていたもの。

一枚ずつ並べると、はっきり分かった。

これは偶然ではない。

単発のいたずらではない。

続いている。

狙われている。

私はそこで、初めて怒りが湧いた。

なぜ私が怯えなければいけないのか。

なぜ相手は、紙一枚で人の生活を壊せると思っているのか。

なぜ私は、ポストを見るだけで震えなければならないのか。

その夜、私は家族に話した。

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最初は声が震えた。

でも、手紙を見せると、空気が変わった。

「これは放っておいたら駄目だ」

そう言われた。

私も、もう同じ気持ちだった。

翌朝、私は手紙を全部封筒に入れた。

日付順に並べた。

届いた場所。

届いた時間帯。

その日に起きたこと。

思い出せる限り、ノートに書いた。

相手の名前らしきものが本物かどうかは分からない。

筆跡が同じかどうかも、私には判断できない。

でも、判断するのは私ではない。

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