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「スピード違反ぐらい?」去年、普通にバイクで走っていた僕は、センターラインを越えてきた車と正面衝突し、人身事故の被害者になった。道路の上で動けなくなった当時の写真を見せた瞬間、“たかが違反”と笑っていた人たちの顔色が一気に変わった。
2026/07/06

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去年のあの日。

僕は、いつも通りバイクに乗っていた。

特別な予定があったわけじゃない。

急いでいたわけでもない。

ただ、普通に走っていた。

前を見て。

車間を取って。

いつもの道を、いつもの速度で。

その瞬間だった。

対向車線の車が、ふっとこちらへ寄ってきた。

最初は見間違いかと思った。

でも違った。

車はセンターラインを越えていた。

僕の正面に向かってきていた。

逃げる時間なんて、ほとんどなかった。

ブレーキ。

ハンドル。

一瞬の判断。

でも、間に合わなかった。

鈍い衝撃。

体が浮いたような感覚。

音が遠くなる。

空が見えた。

道路が見えた。

そして次に気づいた時、僕は地面の上にいた。

体が動かない。

声もすぐには出ない。

周りに人が集まっている気配だけがした。

「大丈夫ですか!」

誰かの声が聞こえた。

大丈夫なわけがなかった。

でも、そう言うこともできなかった。

救急隊が来た。

首を固定され、担架に乗せられた。

見上げた空は、妙に明るかった。

その明るさが、逆に怖かった。

自分のバイクがどうなったのか。

相手の車がどうなったのか。

何が起きたのか。

頭の中で整理しようとしても、痛みと混乱でうまく考えられなかった。

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病院に運ばれた。

検査。

処置。

説明。

警察からの確認。

保険会社とのやり取り。

事故は、ぶつかった瞬間だけで終わらない。

そこから何日も、何週間も続く。

体の痛み。

通院。

仕事への影響。

壊れたバイク。

眠る前に思い出す衝撃音。

後ろから車が近づくだけで、体がこわばる感覚。

それ全部が、事故の続きだった。

それなのに。

ある日、信じられない言葉を聞いた。

「スピード違反ぐらいで騒ぎすぎ」

その瞬間、胸の奥が冷たくなった。

ぐらい?

誰かの運転が少し乱れただけ。

ちょっと速度を出しただけ。

少しセンターラインを越えただけ。

そういう軽さで語れる人は、まだ分かっていない。

車もバイクも、人を簡単に壊す。

一瞬で、日常を終わらせる。

僕はその場で感情的に怒鳴らなかった。

でも、スマホの中に残っている写真を見た。

事故直後の道路。

壊れたバイク。

救急搬送された時の記録。

診断書。

警察とのやり取り。

保険会社の書類。

そこには全部残っていた。

「大したことない」では済まない現実が。

僕は思った。

交通違反を軽く見る人は、違反そのものしか見ていない。

でも被害者は、その先を生きる。

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痛みを抱えて起きる朝。

通院のために予定を変える日。

壊れた物の修理。

働けない時間。

家族の心配。

もう一度バイクに乗る時の恐怖。

その全部を背負うのは、軽く言った側じゃない。

ぶつけられた側だ。

事故の相手がどんな言い訳をしたのか。

詳しいことをここで全部書くつもりはない。

ただ一つだけ言える。

センターラインを越えてきた車と正面衝突した時、僕には選択肢なんてなかった。

避けたくても避けられない瞬間がある。

どれだけ気をつけていても、向こうから危険が飛び込んでくることがある。

だからこそ、運転する側には責任がある。

「少しだけ」

「急いでいただけ」

「みんなやっている」

「捕まらなければいい」

そんな言葉で済ませていいものじゃない。

ハンドルを握るということは、誰かの命の近くを走っているということだ。

僕は今でも、あの日の衝撃を覚えている。

救急隊の声。

担架の硬さ。

道路の熱。

周りのざわめき。

そして、自分の体が自分のものじゃなくなったような感覚。

あれを経験してから、「違反ぐらい」という言葉が本当に嫌いになった。

違反は、点数や罰金だけの話じゃない。

その先に、人がいる。

生活がある。

家族がいる。

仕事がある。

未来がある。

僕は運よく、生きている。

でも、それは「大したことなかった」という意味じゃない。

たまたま最悪の結果にならなかっただけだ。

その“たまたま”を、自分の都合よく軽く見る人がいる。

だから僕は、こう言いたい。

スピード違反ぐらい。

センターラインを少し越えただけ。

一瞬よそ見しただけ。

その“だけ”が、人を救急車に乗せる。

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その“だけ”が、誰かの人生を止める。

事故のあと、僕は何度も記録を見返した。

写真も、書類も、通院の記録も。

そこに残っていたのは、ただの交通トラブルではなかった。

僕の日常が壊された証拠だった。

だから、もう黙らない。

交通違反を軽く言う人には、はっきり言う。

あなたにとっては「ぐらい」でも、被害者にとっては一生忘れられない。

道路の上で一番怖いのは、事故そのものだけじゃない。

事故を起こすかもしれない行為を、軽く考えている人間だ。

ハンドルを握るなら、忘れないでほしい。

その一瞬の油断が、誰かを担架の上に乗せることがある。

そして、その時になってからでは遅い。

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