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「10人飲み会で私だけ孤立」端の席で誰とも話せず置物状態…大勢の飲み会が嫌いになった理由
2026/06/29

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大勢の飲み会が苦手だと話すと、たいてい笑われる。

「えー、楽しいじゃん」

「みんなでワイワイするの嫌いなの?」

「もっと話しかければいいのに」

そのたびに私は曖昧に笑う。

違う。

ワイワイが嫌いなのではない。

お酒が嫌いなわけでもない。

人が嫌いなわけでもない。

嫌なのは、大勢の飲み会で必ず発生する、あの“見えない席順ゲーム”だ。

その日も、最初は普通だった。

久しぶりの集まり。

長いテーブル。

人数は十人以上。

店員さんが料理を運び、グラスが並び、誰かが明るい声で乾杯の音頭を取った。

「今日は楽しもうね」

みんな笑っていた。

私も笑った。

最初の五分だけは。

問題は、乾杯のあとに始まる。

長いテーブルでは、会話は全員に広がらない。

必ず小さな島ができる。

右側の二人が盛り上がる。

向かいの二人も笑い合う。

斜め前の人たちは、昔話で急に距離を縮める。

そして、端の席にいる私は、気づくと誰とも会話していない。

正面の人は隣と話している。

隣の人は反対側を向いている。

遠くの笑い声は聞こえる。

でも、私のところには届かない。

私はグラスを持つ。

置く。

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箸を取る。

また置く。

食べるものを探すふりをする。

スマホを見たいけど、見たら負けみたいな気がして見られない。

だから、メニューを見る。

もう注文するものなんてないのに、真剣な顔でメニューを見る。

完全に、居場所のない人の演技だ。

隣の二人は盛り上がっていた。

「それ覚えてる!」

「やばい、懐かしい!」

笑い声が近い。

でも、私には一ミリも関係ない話題だった。

無理に入ろうと思えば入れる。

でも、タイミングがない。

口を開きかけた瞬間、相手が別の話に移る。

少し笑ってみても、目が合わない。

相づちを打つほど近くない。

黙るほど遠くもない。

この中途半端な距離が一番つらい。

向かい側も同じだった。

向かいの人たちは、それぞれ隣同士で盛り上がっている。

テーブル全体で飲んでいるはずなのに、実際には二人組がいくつも並んでいるだけ。

私はその隙間に置かれた人形みたいだった。

料理は来る。

お酒も来る。

でも、会話だけが来ない。

私は思った。

これ、何の会だろう。

交流会なのか。

孤独耐久レースなのか。

会費を払って、端の席で空気になるイベントなのか。

誰かが言った。

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「大勢だといろんな人と話せていいよね」

私は心の中で首を振った。

違う。

大勢だと、話せる人はさらに話す。

話せない人はさらに沈む。

声の大きい人が場を取る。

関係性が近い人同士が固まる。

そして、ちょっと出遅れた人間は、もう入れない。

飲み会は優しい顔をした椅子取りゲームだ。

しかも、椅子はあるのに座れない。

私はトイレに立った。

正確には、逃げた。

鏡の前で手を洗いながら、自分の顔を見た。

別に泣きそうな顔ではない。

でも、疲れていた。

たった一時間で、仕事より疲れていた。

戻ると、私の席だけ時間が止まっているように見えた。

周りはさらに盛り上がっている。

誰かが写真を撮っている。

誰かが料理を取り分けている。

誰かが次の店の話をしている。

私は静かに席に戻った。

すると、一人がやっとこちらを見た。

「あ、ごめん。静かだったね。楽しんでる?」

その一言が、地味に刺さった。

楽しんでいるように見えないから聞いたのだろう。

でも、そこで「楽しんでない」とは言えない。

私は笑った。

「うん、大丈夫」

大丈夫。

便利な言葉だ。

何も大丈夫ではない時ほど、口から出る。

終盤、みんなは「また集まろう」と言っていた。

私は笑顔でうなずいた。

でも心の中では、次回の欠席理由をもう探していた。

風邪。

仕事。

親戚。

用事。

何でもいい。

とにかく、この長テーブルの端に再び配置される未来を避けたかった。

帰り道、夜風がやけに気持ちよかった。

店を出た瞬間、やっと呼吸が戻った気がした。

私は人付き合いが嫌いなのではない。

一対一なら話せる。

三人くらいなら楽しい。

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ちゃんと目を見て、言葉を返して、同じ話題を共有できるなら大丈夫。

でも、大勢の飲み会は違う。

そこでは、話す力よりも割り込む力が必要になる。

空気を読む力より、空気を奪う力が勝つ。

私はそれが苦手だ。

そして、苦手な人間ほど「もっと自分から行きなよ」と言われる。

その“自分から”ができたら苦労していない。

大勢の飲み会が嫌いな理由。

それは、誰も悪気がないまま、誰か一人が透明になっていくからだ。

笑い声の中で、ひとりだけ置いていかれる。

テーブルの端で、存在しているのに参加していない。

あの感じが、たまらなく苦手なのだ。

だから次に誘われたら、私はこう言いたい。

「少人数なら行きます」

大勢の飲み会で消えるくらいなら、家で温かいお茶を飲んでいた方が、よっぽど人間らしくいられる。

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