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「当てた覚えはありません」車のミラーに傷ができ、隣の車のミラーが当たった跡と塗料まで残っていたのに、オーナーはまさかの否定。だが私が監視カメラのログと現場検証の結果をそろえ、“この車以外に当てた車両がない”と示した瞬間、相手はついに黙り込んだ。
2026/07/06

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最初に異変に気づいたのは、駐車場に戻った時だった。

いつものように車に近づき、運転席側へ回ろうとした瞬間、ミラーに違和感があった。

青いボディのミラーの表面に、白っぽい擦り傷。

横に長く伸びた跡。

ただの汚れではない。

近づいて見ると、塗装が削れていた。

しかも、相手側の塗料らしきものまで付着している。

私はその場で固まった。

「これ、当てられてる……」

傷の位置を見た瞬間、隣の車が頭に浮かんだ。

隣に停まっていた車のミラー。

高さ。

位置。

距離。

どう考えても、ミラー同士が接触したように見えた。

私はすぐに写真を撮った。

傷のアップ。

ミラー全体。

隣の駐車位置。

車と車の距離。

相手のミラーの高さが分かる角度。

感情で動く前に、まず記録を残した。

その後、隣の車のオーナーさんに確認した。

できるだけ冷静に言った。

「すみません。私の車のミラーに傷ができていて、位置的にそちらのミラーが当たった可能性があるんですが」

相手は一瞬だけ傷を見た。

そして、すぐに言った。

「当てた覚えはありません」

その言い方が、妙に早かった。

確認する前から、否定する準備ができていたような口調だった。

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私はもう一度言った。

「塗料も付いていますし、位置も合っているように見えるんです」

すると相手は、少し不機嫌そうに眉を寄せた。

「でも、ぶつけた感覚はなかったです」

ぶつけた感覚。

その言葉で、私は胸の奥が冷たくなった。

感覚がなければ、事実も消えるのか。

気づかなければ、傷はなかったことになるのか。

私は怒鳴りたかった。

でも、そこで声を荒げても意味がない。

相手が「知らない」と言い続ければ、ただの水掛け論になる。

だから私は、その場で引いた。

「分かりました。では確認します」

相手は少し安心したような顔をした。

たぶん、私が諦めると思ったのだろう。

でも、私は諦めたわけではない。

証拠を集めるために、一度下がっただけだった。

まず駐車場の管理側に連絡した。

監視カメラがあることは知っていた。

ただ、すぐに映像を見せてもらえるとは限らない。

それでも、時間と場所を伝え、ログの確認をお願いした。

自分の車を停めた時間。

隣の車が入ってきた時間。

出ていった時間。

その間に、他の車が近づいた可能性。

全部確認してもらう必要があった。

数日後、管理側から連絡が来た。

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該当時間帯の出入り記録とカメラ映像を確認できるとのことだった。

私は交通捜査係にも相談した。

正直、ここまですることになるとは思っていなかった。

ミラーの傷ひとつ。

最初はそう思っていた。

でも、相手が否定した以上、こちらも感情ではなく事実で進めるしかない。

現場検証の日。

私は車を同じ位置に停めた。

相手の車両との位置関係。

ミラー同士の高さ。

傷の向き。

塗料の付着位置。

警察の担当者は、ひとつずつ確認していった。

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