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「9,000円?横断歩道で止まったのに違反扱い」歩行者が渡り終わって発進しただけなのに、“振り返ったから進路妨害”と言われた話
2026/06/30

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横断歩道の手前で、私はいつもより慎重にブレーキを踏んだ。

夕方の道だった。

交通量はそこそこある。

信号のない横断歩道。

左側の歩道に、人影が見えた。

迷っているようにも見えた。

渡るのか。

渡らないのか。

一瞬だけ判断に迷った。

でも、私は止まった。

止まるべきだと思ったからだ。

最近は横断歩道の取り締まりも厳しい。

歩行者がいたら停止。

それは分かっている。

だから、ちゃんと止まった。

車を完全に停めて、歩行者が渡るのを待った。

その人は少し驚いたようにこちらを見て、それから横断歩道を渡り始めた。

私はハンドルを握ったまま、じっと待った。

急かさない。

動かない。

歩行者が渡り終えるまで待つ。

当たり前のことを、当たり前にしたつもりだった。

歩行者は反対側へ渡った。

横断歩道からも離れた。

私は左右を確認した。

前方も見た。

問題ない。

そう判断して、ゆっくり発進した。

その瞬間だった。

後ろから赤いランプが光った。

ミラーを見ると、パトカー。

嫌な予感がした。

でも、自分が何をしたのか分からない。

スピードも出していない。

信号無視もしていない。

横断歩道では止まった。

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むしろ止まった。

私は路肩に車を寄せた。

警察官が近づいてきた。

窓を開けると、冷たい風が入ってきた。

「今、横断歩道で歩行者の進路を妨害しましたね」

私は一瞬、言葉を失った。

「え?」

思わず聞き返した。

「止まりましたよね、私」

警察官は淡々としていた。

「止まったのは確認しています。ただ、発進した時に歩行者の方がびっくりして振り返っていました」

私は頭の中で、今の場面を巻き戻した。

歩行者が渡る。

私が待つ。

渡り終わる。

発進する。

その人が振り返った。

だから違反。

え。

そんなことある?

私はもう一度言った。

「渡り終わってから発進しました。横断中には動いていません」

しかし、警察官の表情は変わらなかった。

「歩行者が驚いて振り返ったので、危険を感じた可能性があります」

可能性。

その言葉が、やけに引っかかった。

可能性で切符を切られるのか。

私は怒鳴りたい気持ちを飲み込んだ。

ここで感情的になっても得はない。

相手は警察官だ。

こちらが強く言えば、さらに話がややこしくなる。

でも、納得はできなかった。

私はちゃんと止まった。

歩行者を優先した。

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急発進もしていない。

クラクションも鳴らしていない。

それなのに、歩行者が振り返ったから違反。

なら、どうすればよかったのか。

歩行者が完全に視界から消えるまで待てばよかったのか。

家に帰るまで見送ればよかったのか。

安全運転のつもりが、いつの間にか見送り業務になっている。

警察官は書類を出した。

私はそれを見ながら、胸の奥がじわじわ熱くなっていくのを感じた。

反則金、九千円。

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