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ママ、それ言ったら相手が悲しむから、私はそんなこと言いたくない
2026/05/26

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「ママ、それ言ったら相手が悲しむから、私はそんなこと言いたくない」

小6の娘にそう言われた時、私は少し恥ずかしくなった。

娘は学校で、同級生の男の子に
「こっち見んな、ばーか」
と言われたらしい。

私は腹が立ってしまって、

「そんなの、“誰がお前なんか見るかよ”って言い返せばいいじゃん!」

と、大人気なく言ってしまった。

でも娘は、静かに首を振った。

「嫌なこと言われても、私はそんな言い方したくない」

その言葉に、私は反省した。

でも同時に、不安にもなった。

こんな優しい子が、これから傷つけられ続けたらどうしようって。

数日後。

たまたま学校帰り、その男の子を見かけた。

娘は少し表情を固くしたけど、逃げる様子はなかった。

私は思い切って、その子に話しかけた。

怒鳴るつもりじゃなかった。

ただ、「人を傷つける言葉は、自分にも返ってくるんだよ」とか、

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「優しい子を傷つけないでほしい」とか、
そんな“きれいごと”を、ちゃんと伝えたかった。

でもその男の子は、途中から顔を歪めて泣き出した。

それを見て、すぐに親が飛んできた。

そして開口一番、

「うちの子泣かせたの、あなたですか!?」

事情を説明しようとしても、全く聞かない。

「子ども相手に大人げない!」

「うちの子を悪者にするんですか!?」

私はその瞬間、全部わかってしまった。

ああ、この子は“悪いことをした”感覚がないんだ。

叱られた経験も、
相手を傷つけた実感も、
きっと曖昧なまま育ってる。

そして、それを許しているのがこの親なんだ、と。

正直、怖くなった。

こんなふうに、
「うちの子は悪くない」
だけで押し通す大人がいる世界で、

娘はこの先、

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ちゃんと優しいままで生きていけるんだろうかって。

するとその時だった。

ずっと黙っていた娘が、
私の服を軽く引っ張って言った。

「ママ、大丈夫だよ」

そして、泣いている男の子を見ながら、
小さな声でこう言った。

「この子、笨蛋じゃないよ」

私は少し驚いて娘を見た。

すると娘は続けた。

「悪い子なんだよ」

「だから、離れればいいだけ」

「行こう、ママ」

その瞬間、
私はハッとした。

私はずっと、
“悪い人を変えなきゃ”
って思っていた。

でも違った。

悪い人は、きっと消えない。

理不尽も、
意地悪も、
黒白のわからない大人も、
たぶんこれからもいる。

でも――

娘には、
“悪い人を見抜く目”がちゃんと育っていた。

優しいだけじゃない。

ちゃんと距離を取れる強さも、持っていた。

帰り道、
娘の後ろ姿が少しだけ頼もしく見えた。

そして私は、

守らなきゃと思っていたのに、
本当は私のほうが、大事なことを娘から教わっていたんだと思った。

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