「は?痛っ……最悪なんだけど」
夕方の電車だった。
私は買い物帰りで、
少し混んだ車内をゆっくり歩いていた。
その時だった。
足元に何か引っかかって、
身体が大きく傾いた。
「あっ…!」
危うく転びそうになった瞬間、
近くのサラリーマンが慌てて腕を支えてくれた。
「大丈夫ですか!?」
「あら、ごめんなさいねぇ」
私は頭を下げながら、
何につまずいたのか下を見た。
そこには、
優先席でだらしなく座る若い女の子二人組。
二人とも椅子から落ちそうなくらい深く座って、
足を通路の真ん中まで投げ出していた。
しかも片方はガムを噛みながらスマホ。
もう片方は動画を爆音で流していた。
すると、
金髪っぽい髪の女の子が舌打ちした。
「チッ。マジでびっくりしたんだけど」
もう一人も笑いながら言った。
「おばあちゃん、前見て歩きなよ〜」
周囲が一瞬静かになった。
でも、
誰も何も言わない。
私はその子たちを見た。
二人とも、
「こっち被害者なんだけど?」
みたいな顔をしていた。
私はゆっくり姿勢を整えて、
スカートの埃を払った。
すると金髪の子が、
わざと聞こえる声で言った。
「年寄りってマジ危ないよね」
「急に倒れてきそうで怖いんだけど」
もう片方も笑う。
「それなw」
「てか優先席じゃんここ」
「座りたいなら言えば〜?」
私は少し驚いた。
優先席。
そう。
そこは優先席だった。
なのに二人は、
脚を投げ出して二席分みたいに使っている。
しかも、
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