袋を開けた瞬間、手が止まった。
いつも通り届いた生協の荷物。
でも、袋の底に違和感があった。
黄色い液体が溜まっている。
量もおかしい。
ただの水じゃない。
嫌な予感がして、顔を近づけた瞬間——
一気に後悔した。
鼻に刺さる、あの匂い。
……まさか。
でも、信じたくなかった。
とりあえず袋を閉じて、深呼吸した。
子どもも帰ってくる。
これは放置できない。
私はすぐに連絡した。
生協の窓口だった。
事情を説明すると、担当者が来ることになった。
しばらくして来たのは、配送に関わっていた男だった。
袋を見るなり、軽くため息をついて言った。
「これくらいで大げさじゃないですか?」
……は?
思わず言葉が止まった。
私は状況を説明した。
でも、その男は聞く気がない。
それどころか、信じられないことを言った。
「子どもさんですよね?こういうの」
頭の中が一瞬で真っ白になった。
「うちの子はまだ帰ってきてません」
そう言っても、男は肩をすくめた。
「いやでも、最近そういう子多いんですよ」
さらに追い打ちのように言った。
「挨拶もできないし。“ありがとう”も言えないでしょ?」
その瞬間、怒りが込み上げた。
被害を受けてるのはこっちなのに、
なぜ子どものせいにされるのか。
完全に舐められてる。
私はその場で言った。
「警察呼びます」
男は一瞬だけ顔をしかめたが、すぐに笑った。
「どうぞ」
余裕だった。
どうせ何もできないと思っている顔だった。
でも、私は迷わなかった。
その場で通報した。
数十分後、警察が到着した。
状況を説明し、袋を確認してもらう。
警察官はすぐに表情を変えた。
「これはちょっと……」
手袋をして、慎重に確認する。
そして、はっきり言った。
「人の尿の可能性が高いです」
その瞬間、空気が変わった。
さっきまで強気だった男の顔色が変わる。
警察はそのまま確認を進めた。
配送ルート、接触履歴、状況。
逃げ場はなかった。
そして——
「特定できました」
男は言葉を失った。
さっきまでの態度は完全に消えていた。
「いや……その……」
言い訳にもならない声。
警察が一歩前に出る。
「説明してもらえますか?」
その一言で、完全に崩れた。
男は観念したようにうつむいた。
その日のうちに、管理者も来た。
さっきとは別人のように、何度も頭を下げた。
でも、正直。
遅いと思った。
あの時、素直に謝っていれば、
ここまでにはならなかった。
最初は、ただの違和感だった。
でも、それを無視しなかったことで、
全部が明らかになった。
そして一番分かったのは——
こういう人間は、
ちゃんと突き詰めないと止まらないということ。
これって、
最初から強く出るべきだったのか、
それともここまでやって正解だったのか。
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