朝の光が差し込む市役所の窓口は、すでに人々でごった返していた。春の風が街路樹の間を揺れる中、僕は重い足取りで列に並んでいた。今日は家族のビザ更新の日。僕たちは三人家族。小さな希望を胸に、手元の書類を何度も確認する。
一人あたり6000円。家族三人で合計18000円。数字は頭の中で何度も反芻される。過去数年間、この額で手続きが済んできたことに、不思議な安心感があった。順番が近づくと、窓口の担当者の視線がこちらに向く。微笑むでもなく、淡々と書類を受け取り、確認を始める。
しかし、口頭で耳に入ってきた次回の料金は衝撃的だった。一人7万円。三人家族だと21万円だというのだ。僕の心臓が跳ねる。18000円だったものが、21万円になる。言葉が出ない。書類の束を握りしめる手が、微かに震えている。
「それに見合ったサービスは受けてる気がしない…」心の中で呟く。窓口の冷たい空気が、さらに僕の胸を締めつける。受付の人は無表情で、ただ次の手続きを促すだけ。僕は息を整え、心を落ち着かせようと深呼吸する。しかし、怒りと困惑が頭の中で渦巻く。
列の後ろから子供の声が聞こえる。妹のように小さな手を握りしめ、彼女もこの変化に気付いている。僕は何とか平静を装うが、数字の衝撃が現実感をもって押し寄せる。18000円の感覚で来た僕たちが、いきなり21万円の壁に直面する。目の前の現実と、理不尽な値上げに、言葉が詰まる。
窓口の担当者が淡々と次の書類を要求する。僕は紙を差し出しながら、頭の中で計算を始める。何がどう変わったのか。手続きの内容は変わっていない。サービスは同じはずなのに、料金だけが跳ね上がる。この国の手続きは、何の理由でこんなに変わるのか。頭が痛くなる。
心の中で計算を繰り返す。これまでの料金で十分な手続きが行われていたはず。21万円にする正当性は、何も見えない。窓口の冷たい空気が、さらに僕の怒りを募らせる。小さな机の上の書類が、まるで嘲笑うかのように見える。
僕は深く息を吸う。怒りを感情でぶつけても仕方がない。冷静に、論理的に、現実を受け入れるしかない。しかし、心の中の皮肉と不満は止められない。「これで21万円?サービスは何も変わらないのに?」僕の中で声にならない言葉が渦巻く。
手続きを終え、外に出る。春の光が目に眩しい。街路樹の緑が柔らかく揺れる。心の中の怒りと困惑を抱えながら、僕は家族の手を握り直す。21万円という現実を前にしても、家族と共に歩くしかない。皮肉と不満を胸に、次の手続きの時には、もう少し準備を整えようと心に誓う。
車に戻り、書類を整理しながら思う。国の手続きが値上げするたび、僕たちは愚直に従うしかない。だが、この現実に対して黙っていられるか?いや、愚痴を吐きながらでも、次はもっと賢く、計画的に臨むしかない。
現実に立ち向かう、家族のための小さな戦い。それが、僕の選んだ道だ。
心の中で、次回の値上げのニュースを思い浮かべ、軽く舌打ちする。「まったく…これで21万円って、冗談だろ」と。家族と一緒に帰路につきながら、僕はこの理不尽さを噛みしめつつ、皮肉を含んだ笑みを浮かべるのだった。