知らない番号から、
突然LINEが届いた。
開いた瞬間、
私は頭を抱えた。
元旦那の不倫相手だった。
しかも内容を読んで、
本気で意味が分からなかった。
「慰謝料、返してもらえませんか?」
いや待って。
不倫したの、
そっちだよね?
さらに長文が続く。
「赤ちゃんができたんです」
「元旦那から別れを切り出されました」
「生活が苦しくて……」
「でも真央さんと元旦那さん、まだ連絡取ってますよね?」
「関係破綻してないなら、慰謝料払う必要なかったですよね?」
読みながら、
だんだん笑えてきた。
いや、
その理論どうなってるの?
しかも向こうは完全に
“騙された被害者”モード。
「全額じゃなくていいんです」
「半分だけでも返してください」
「返答いただけない場合は弁護士に相談します」
最後には、
「これって詐欺に当たりませんか?」
とまで来た。
私はスマホを見ながら、
静かに深呼吸した。
昔の私なら、
感情的に長文で言い返してたと思う。
でも、
もうそんな気力もなかった。
だから私は、
一文だけ送った。
「不倫をしたのはあなた側です。慰謝料は当然の責任であり、今さら返金を求める道理はありません。」
送信。
既読。
そのあと、
相手から一気に長文が飛んできた。
「でも私は騙されて——」
「赤ちゃんには罪ないですよね?」
「こちらも生活がかかってるんです」
「本当に冷たいですね」
でも私は、
もう返さなかった。
一切。
すると向こう、
今度は追いLINEを始めた。
「無視しないでください」
「こちらは本当に困っています」
「返答いただけない場合——」
毎日通知が来る。
正直、
かなりしんどかった。
なんで不倫された側の私が、
こんな精神削られなきゃいけないんだろうって。
そこで私は、
全部保存することにした。
LINE。
スクショ。
送信日時。
全部。
そして弁護士に相談した。
事情を説明して、
スマホをそのまま見せる。
弁護士さんは、
LINEを読みながら苦笑いしていた。
そして一言。
「返還請求はまず通りませんね」
さらに。
「むしろ、これ以上続くなら迷惑行為として警告できます」
私はその場でお願いした。
内容証明を出してもらうことにした。
数日後。
弁護士名義で正式な通知が届いたらしい。
・慰謝料支払いは法的に成立済み
・これ以上の返還要求には応じない
・執拗な連絡、精神的圧迫行為を停止すること
・今後も継続する場合は法的対応を検討する
かなり淡々とした文章だったらしい。
でも——
効果は絶大だった。
あれだけ毎日来ていたLINEが、
その日を境にピタッと止まった。
本当に一通も来ない。
私は通知ゼロの画面を見ながら、
静かに思った。
結局、
人を法律で脅そうとする人って、
本物の法律が出てきた瞬間、
急に静かになるんだなって。
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