早稲田を中退してキャバ嬢になった友達から1番やばい客の話を聞いた。 毎週来て100万使う客がいたらしい。 その正体を知って彼女は店を辞めた。 その客は60代の男だった。 毎週金曜に来た。 必ず100万以上使った。 シャンパンを何本も入れた。 でも誰も指名しなかった。 店の女の子全員に飲ませた。 自分はほとんど飲まなかった。 ニコニコ見ているだけだった。 女の子たちは喜んだ。 でも彼女だけは違和感があった。 男は毎回同じことを聞いた。 「みんな、ちゃんと食べてる?」 「家族とは仲良くしてる?」 ある日彼女は男に聞いた。 「なんでお気に入りの子もいないのに、うちの店ばかり来るんですか」 男は少し黙った。 「ここに、娘と同じ年の子がいるから」 その言い方が引っかかった。 店が男のことを調べた。 調べてわかったことがあった。 男には本当に、
娘がいた。
でも5年前に亡くなっていた。
娘もキャバ嬢だった。
当時、男はそれを知らなかったらしい。
娘は親に内緒で働いていた。
地方から東京に出てきていた。
仕送りをしていたのは娘の方だった。
男の事業が傾いた時期だった。
娘は黙って金を送り続けた。
男はそれを学費の残りだと思っていた。
娘がどうやって稼いでいたか知らなかった。
娘が亡くなった後にわかった。
遺品の中に給与明細があった。
キャバクラのものだった。
男は初めて知った。
娘が水商売で自分を支えていたことを。
男は娘に何もしてやれなかったと悔やんだ。
それから毎週キャバクラに通い始めた。
娘と同じ年頃の子たちにお金を使った。
「あの子にしてやれなかった分」
そう思っていたらしい。
100万使うのには理由があった。
娘が5年で送ってくれた仕送りの総額だった。
男はそれを店の子たちに返していた。
彼女はその話を本人から聞いた。
聞いた夜に泣いたらしい。
彼女も親に内緒で働いていたからだった。
彼女も地方から出てきた子だった。
男の娘と同じだった。
彼女はその夜に決めた。
店を辞めることを。
そして親に電話したらしい。
初めて本当の仕事を打ち明けた。
親は泣いて怒った。
でも最後に「体だけは大事にしろ」と言った。
彼女が店を辞めた理由。
それはやばい客が怖かったからじゃなかった。
娘を喪った父親の姿に、自分の親の姿を見たからだった。
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