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「花火大会だからって私有地に無断駐車した1台」左右から3台でガチガチに封鎖したら、戻ってきた持ち主が逆ギレ→防犯カメラと通報済みを突きつけた瞬間、態度が一変した話
2026/06/04

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花火大会の夜だった。

近くの河川敷から、どん、と腹に響く音がしていた。

窓の外には、浴衣姿の人たちがぞろぞろ歩いている。

子どもの声。

屋台の匂い。

遠くで上がる歓声。

夏らしい夜だな、と思いながら、私は敷地内の駐車スペースを見に行った。

そこで、足が止まった。

見覚えのない車が一台、堂々と停まっていた。

うちの敷地内。

もちろん来客予定はない。

許可もしていない。

なのに、まるで最初からそこが自分の場所だったみたいな顔で、白い車がすましている。

私はしばらく黙って眺めた。

「……誰?」

車は答えない。

当たり前だ。

でも、その沈黙が余計に腹立たしい。

近くで花火がある日は、こういうことが起きる。

駅前の駐車場は満車。

コインパーキングも値段が上がる。

だから、少し離れた住宅地や敷地内に、勝手に停める人が出る。

本人たちはたぶん思っている。

「少しだけだから」

「夜だしバレないだろう」

「終わったらすぐ出るし」

その“少しだけ”で、こっちは自分の場所を奪われる。

自分の敷地なのに、なぜかこちらが遠慮しなければならない。

私はその白い車の前で、静かに笑った。

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怒鳴るより先に、妙な冷静さが来た。

さて。

どうしてくれようか。

通報する?

張り紙する?

持ち主が戻るまで待つ?

いや、花火大会の夜に、見知らぬ無断駐車のためにこちらが時間を差し出すのは、あまりにも優しすぎる。

ちょうど家族の車が戻ってきた。

黒い車と青い車。

私は一台を左へ。

もう一台を右へ。

白い車の両側に、ぴたりと停めた。

前にも後ろにも余裕はほとんどない。

まるで展示車のように、三台が横一列に並んだ。

中央の白い車だけが、妙にお行儀よく挟まれている。

私は少し離れて眺めた。

完璧だった。

ガチガチのブロック。

出られるものなら出てみてください、という構図。

もちろん、こちらの車はうちのものだ。

敷地内に停めているだけ。

無断で入り込んだ車を、こちらの生活圏が包囲しただけである。

遠くで花火が上がった。

夜空が一瞬明るくなり、白い車のボンネットが光った。

なんだか祝砲みたいだった。

しばらくして、花火大会が終わったらしい。

人の流れが戻ってきた。

浴衣の裾を持った若い女性。

スマホを見ながら歩くカップル。

眠そうな子どもを抱えた父親。

その中に、明らかに焦った様子の男がいた。

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彼はうちの敷地の前で止まり、白い車を見た。

そして、左右の車を見た。

顔が固まった。

私は少し離れた場所から、その表情を見ていた。

申し訳ないが、少しだけ面白かった。

男は車の周りをぐるっと回った。

前を見る。

後ろを見る。

左を見る。

右を見る。

どこにも逃げ道はない。

スマホを取り出して、誰かに電話している。

たぶん、こう言っているのだろう。

「車、出せない」

でしょうね。

こちらも、勝手に停められて出せませんでしたから。

しばらくして、男がこちらに気づいた。

気まずそうな顔で近づいてきた。

「あの、すみません……車、出したいんですけど」

私はゆっくり振り向いた。

「ここ、うちの敷地なんですけど」

男は一瞬、言葉に詰まった。

「あ、いや、少しだけ停めさせてもらってて……」

出た。

無断駐車界の伝統芸。

「少しだけ」

その“少し”の間に、あなたは花火を見て、こちらは自分の敷地を見張る羽目になったんですが。

私は笑顔で言った。

「少しだけなら、出られない時間も少しだけ我慢できますよね」

男の顔がさらに引きつった。

別に大声で責めるつもりはなかった。

でも、何事もなかったように帰らせるつもりもなかった。

自分の都合で他人の場所を使うなら、他人の都合で困ることもある。

それだけの話だ。

最終的に、男は何度も頭を下げた。

私は車を動かした。

白い車は、やっと敷地から出ていった。

去り際、男は二度と来ませんと言った。

ぜひそうしてほしい。

花火はきれいだったのだろう。

でも、うちの敷地に勝手に停めたせいで、彼の思い出には最後に「出庫不能」という特大のフィナーレがついた。

夏の夜。

無断駐車。

左右からの完全包囲。

花火より派手ではないけれど、効果は抜群だった。

次からは、ちゃんと駐車場を探してください。

夜空に上がる花火は無料で見られても、他人の敷地まで無料開放しているわけではない。

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