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「ここ洗車場じゃないですよね?」お墓の駐車場で、白いミニバンの男性が霊園の水道を使って堂々と洗車。墓参りの人が使うはずの水でタイヤまわりまで洗っている姿を見た私が、写真を残して管理事務所に確認した瞬間、受付の表情が一気に変わった。
2026/07/08

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お墓参りに行った日のことだった。

天気は少し曇っていて、空気は静かだった。

霊園の駐車場には、数台の車が停まっていた。

私はいつものように車をゆっくり進め、空いている場所を探していた。

その時、少し離れた区画に白いミニバンが見えた。

車体は大きく、駐車場の端に停まっていた。

その横で、男がしゃがんでいる。

最初は、タイヤの空気でも見ているのかと思った。

何か落としたのかもしれない。

そう思って通り過ぎようとした。

でも、次の瞬間、違和感に気づいた。

水の音がする。

地面が濡れている。

男の手元には、布のようなもの。

そして車のホイールが濡れていた。

私は思わず二度見した。

洗っている。

お墓の駐車場で。

霊園の水道を使って。

車を洗っている。

一瞬、言葉が出なかった。

そこは洗車場ではない。

ガソリンスタンドでもない。

コイン洗車場でもない。

お墓参りに来た人が、花立ての水を汲んだり、手を洗ったりするための場所だ。

その水を使って、車の足回りを洗っている。

しかも悪びれた様子もない。

私はハンドルを握ったまま、しばらく固まった。

怒りというより、呆れだった。

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ここでそれをするのか。

よりによって、霊園で。

私は車を少し離れた場所に停めた。

そして、もう一度その白いミニバンを見た。

男はまだ作業を続けていた。

水をかける。

布でこする。

足元の汚れを落とす。

完全に洗車の動きだった。

周りには墓参りの人もいる。

手桶を持って歩いている人もいる。

静かに合掌している人もいる。

その空気の中で、ひとりだけ別の場所にいるようだった。

私は近づいて注意しようか迷った。

でも、やめた。

こういう相手は、直接言うと面倒になることがある。

「少しだけ」

「汚れていたから」

「誰にも迷惑かけてない」

そう返されるのが目に見えていた。

それに、ここは霊園だ。

大声で揉める場所ではない。

私はスマホを出した。

車の位置。

濡れた地面。

男が車のそばで作業している様子。

水道からの距離。

霊園の駐車場だと分かる背景。

必要な範囲だけ、写真に残した。

顔を撮るつもりはない。

晒すつもりもない。

ただ、状況が分かればいい。

時間もメモした。

何時に見つけたか。

どの場所だったか。

どれくらい続いていたか。

私はその足で管理事務所へ向かった。

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受付にいた人に、できるだけ落ち着いて伝えた。

「駐車場で、霊園の水道を使って洗車している方がいます」

最初、職員の人は少し驚いた顔をした。

「洗車ですか?」

私は写真を見せた。

その瞬間、表情が変わった。

「これは困りますね」

その一言で、私は少しだけ救われた気がした。

私が気にしすぎているわけではない。

おかしいものは、やっぱりおかしい。

職員の人はすぐに別の担当者を呼んだ。

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