休日の昼、近所のラーメン店に入った。
店内は混雑していて、私はスマホを見ながら順番を待っていた。
しばらくして店員さんに呼ばれたのだが、その時ちょうど動画を見ていて反応が少し遅れてしまった。
慌てて立ち上がり、
「すみません!」
と謝って席へ向かった。
その時は特に何も気にしていなかった。
ラーメンを食べ終え、会計をしようと伝票を手に取った時だった。
名前欄の横に大きく書かれた文字が目に入った。
「バカ」
思わず二度見した。
いやいや、そんなわけない。
でもどう見ても「バカ」だ。
まさか呼ばれた時に反応が遅かったから?
謝ったのに?
客を陰で馬鹿にしていたのか?
そう考え始めるとどんどん腹が立ってきた。
食事の満足感なんて一瞬で吹き飛んだ。
私は伝票を握りしめたまま店員さんを呼んだ。
店員さんは少し慌てた様子で近づいてきた。
私は伝票を指差しながら言った。
「これ、どういう意味ですか?」
すると店員さんは顔色を変え、
「申し訳ございません!提供が遅かったでしょうか!」
と必死に謝り始めた。
だが私はさらに困惑した。
怒っているポイントが違う。
そこで少し冷静になり、
「いや……これの意味を聞きたくて……」
と伝票を見せた。
すると店員さんは一瞬ポカンとした後、
「あっ!」
と声を上げた。
そして笑いをこらえながら説明した。
「これ、『バリカタ』の略です」
私は固まった。
その店では麺の硬さを略号で管理しており、
ハリガネ=ハリ
カタメ=カタ
バリカタ=バカ
と書いていたらしい。
つまり私は店員に馬鹿にされたわけでも何でもなく、ただの麺の硬さだった。
数秒前まで怒りでいっぱいだった自分が急に恥ずかしくなった。
店員さんも苦笑い。
私も苦笑い。
そして帰り道、
「人は思い込みだけでここまで勝手に怒れるんだな……」
と反省しながら歩いた。
でも正直、
初見であれを見たら勘違いする人、私以外にもいると思う。
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