あの日、私は旦那の不倫を知った。
頭の中は真っ白で、どうしていいか分からなかった。
でも、怒りと悔しさが混ざったその気持ちを、私はある方法で昇華させることにした。
スマホを手に取り、旦那のLINEアカウントを開く。
心臓がバクバクして、指先が震える。
画面の向こうには、あの女がいる。
いつも笑っているあの顔を思い浮かべるだけで、胸が締め付けられる。
私は深呼吸をした。
そして、考えた。「旦那のふりをして、相手に送ればいい」
感情のままにやるのではなく、冷静に、計画的に。
その瞬間、ちょっとだけ笑えた。復讐の匂いが、私の中で立ち上る。
まずはメッセージを打つ。
「送りたいものがあるから、住所教えて」と。
文字を打つ指が止まらない。
心の奥底では、怒りと期待が入り混じる。
送信ボタンを押した瞬間、背筋がぞくっとした。
返事はすぐに来た。
「何送るの?」
ああ、来た来た、思ったより早い。
「内緒。笑」と返す。
文字だけでも、相手の興味を引けた気がした。
「直接受け取るんじゃだめなのかい?」
私はさらに焦る気持ちを押さえて、冷静に返信する。
「急ぎで送りたいものがあるの!」
既読がつく。
画面越しに、相手が小さく笑ったような気がした。
そして住所が返ってきた。
やっと、計画の第一歩が成功した瞬間だった。
この小さな勝利感。
怒りと悲しみの混ざった気持ちが、少しだけ晴れた気がした。
でも、ここで終わりじゃない。
これはただの第一手。
相手はまだ何も知らない。
このあと、私の仕掛けが本格的に動き出す。
スマホを握りしめ、私は静かに考える。
どうやって、この事実を相手に知らせるか。
でも同時に、冷静に、感情に流されずにやらねばならない。
ここで間違えば、私の計画は水の泡だ。
その夜、画面の明かりだけが私の顔を照らす。
冷たい光の中で、私は少しだけ笑った。
「今日から、私の時間だ」と。
この小さな勝利が、怒りと絶望の中で、唯一の救いだった。