東急東横線に乗った時のことだった。
車内はそこそこ混んでいた。
立っている人も多く、吊り革はほとんど埋まっている。
私は運よく座れていた。
仕事帰りで足も疲れていたし、正直かなり助かったと思っていた。
スマホを見ながら、早く最寄りに着かないかなと考えていた。
すると、前に立っていた男性が、妙に近かった。
混んでいるから仕方ない。
最初はそう思った。
でも、次の瞬間、足に重い感触があった。
ぐにっ。
私の靴の先を、彼の足が踏んでいた。
「あ、すみません」
そう言われると思った。
でも、何もなかった。
男性はスマホを見たまま、表情ひとつ変えない。
私は少し足を引いた。
混雑した車内だ。
一回なら事故だ。
そう自分に言い聞かせた。
しかし、数分もしないうちに、また踏まれた。
今度はさっきよりはっきり。
偶然にしては、角度が変だった。
前に立っているのに、わざわざ私の足の上へ体重が乗る。
私は顔を上げた。
男性は目を合わせない。
ただ、口を少し膨らませたような顔で、スマホを見ている。
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