昨日、私は軽い気持ちで鉄道グッズ売り場に寄った。
目的は、ただの小物だった。
模型に載せる石炭のパーツ。
棚の端に、小さな透明ケースが並んでいた。
「セラ1 アクセサリー」
「石炭積載プレート」
十両分一セット。
値段は五千円ちょっと。
模型趣味の世界では、まあ、あるあるの金額だ。
私はケースを手に取り、しばらく眺めた。
黒いプレートに、ざらっとした石炭らしき質感。
いい。
実にいい。
貨車に載せたら、一気に雰囲気が出るやつだ。
「昨日の戦利品はこれだな」
そう思って、レジへ持っていった。
すると店員さんが、ケースを見た瞬間、少し表情を変えた。
「あっ、これはですねぇ……」
その声が、妙に神妙だった。
私は思わず身構えた。
何か不具合でもあるのか。
限定品なのか。
それとも、マニア向けすぎて取り扱い注意なのか。
店員さんはケースを両手で持ち、まるで由緒ある品を紹介するように言った。
「これ、表にあるキューロクに積んでいた本物の石炭を使っているんです」
「本物の石炭?」
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