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「地下鉄で水を一口飲んだだけで1000香港ドル」香港旅行中の私がMTRで止められ、領収書を見た瞬間に血の気が引いた話
2026/06/08

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香港旅行の二日目だった。

朝から湿気がすごかった。

外に出た瞬間、空気が肌にまとわりつく。

観光地を歩き回り、階段を上り、写真を撮り、気づけば喉はカラカラだった。

駅に入った時、私はもう完全に水のことしか考えていなかった。

目の前にはMTR。

涼しい車内。

清潔なホーム。

人の流れもスムーズで、さすが香港の地下鉄だなと思った。

友人の女の子も、かなり疲れていた。

帽子を深くかぶり、スマホを片手に持ったまま、ペットボトルの水を開けた。

「ちょっとだけ飲むね」

そう言って、彼女は本当に一口だけ飲んだ。

ごく普通の動作だった。

日本なら、電車で水を飲むくらい誰も気にしない。

暑い日ならなおさらだ。

私も何も思わなかった。

むしろ、倒れる前に飲んだ方がいいと思っていた。

ところが、その数分後だった。

係員らしき人が近づいてきた。

最初は道案内かと思った。

でも表情が硬い。

言葉は早く、英語と広東語が混ざっていて、私たちは一瞬理解が追いつかなかった。

ただ、相手が指さしているものは分かった。

ペットボトル。

水。

そして、車内。

私はそこで初めて嫌な予感がした。

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「え、水もダメなの?」

友人の顔から、さっと血の気が引いた。

係員は淡々としていた。

怒鳴るわけではない。

でも、許す空気でもない。

MTRの車内では飲食禁止。

水も例外ではない。

違反として処理される。

そう説明された瞬間、私たちは固まった。

罰金は千香港ドル。

千香港ドル。

頭の中で日本円に換算しようとして、途中でやめた。

旅行中に急に出てくる金額としては、かなり痛い。

しかも理由が「水を一口飲んだ」。

友人は何度も説明しようとした。

「知らなかったんです」

「本当に水だけです」

「体調が悪くなりそうで」

でも、係員の対応は変わらなかった。

ルールはルール。

知らなかったでは済まない。

その言葉が、車内の冷房より冷たく感じた。

やがて発行された紙を見た時、現実味が一気に増した。

MTRの正式な領収書。

金額欄には、はっきりと「1000」と印字されている。

友人はその紙を持ったまま、しばらく黙っていた。

さっきまで観光で笑っていた顔が、完全に消えていた。

私は横で何も言えなかった。

慰めようにも、言葉が軽すぎる。

「まあ勉強代だよ」なんて言える金額ではない。

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「水で千ドル」は、勉強代にしては授業料が強すぎる。

駅を出たあと、私たちはしばらくベンチに座った。

友人はペットボトルを見つめていた。

まるで爆弾でも持っているみたいな顔だった。

「もう香港で水飲むの怖い」

その一言に、私はちょっと笑いそうになった。

でも笑えなかった。

気持ちは分かる。

もちろん、MTR側にも理由はあるのだろう。

車内を清潔に保つため。

匂いや汚れを防ぐため。

混雑時のトラブルを避けるため。

それは理解できる。

香港の地下鉄がきれいなのも、きっとこういう厳しさがあるからだ。

ただ、観光客の感覚では「水もダメ」というところで引っかかる。

食べ物なら分かる。

ジュースをこぼすのも分かる。

でも、水。

無味無臭の水。

こちらの常識ではセーフだと思ってしまう。

しかし、旅先で一番危ないのは、その「こっちの常識」だった。

国が変われば、電車のルールも変わる。

駅の雰囲気が日本と似ていても、同じ感覚で動くと痛い目を見る。

しかも今回は、財布に直接来た。

その後、私たちはMTRに乗るたびに異常なほど慎重になった。

ホームで水を飲む前にも確認。

改札内では飲まない。

車内では絶対に開けない。

ペットボトルのキャップを触るだけで、友人が「やめて」と言う。

完全にトラウマである。

でも、そのくらいでちょうどいいのかもしれない。

旅行先では、知らないルールが一番怖い。

看板を見落とす。

周りが普通にしているように見える。

少しくらい大丈夫だと思う。

その「少し」で、千香港ドルが飛ぶ。

友人は最後にぼそっと言った。

「香港で一番高かった飲み物、水だったわ」

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私はそこでついに笑った。

たしかにそうだ。

彼女が飲んだのは、ただのミネラルウォーター。

でも、その一口には千香港ドルの追加料金がついた。

高級レストランのドリンクどころではない。

香港に行く人に、私は今なら全力で言える。

観光地より先に、まずこれを覚えてほしい。

MTRでは飲まない。

水でも飲まない。

喉が渇いたら、乗る前か降りてから。

旅の思い出を「夜景」や「飲茶」ではなく、「水一口で

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