あの日のことを思い出すと、今でも胸の奥がざわつく。
午後の静かな住宅街、ポストの前で私は荷物を見て固まった。
「林田達也」という名前が差出人。
心臓が跳ね上がる。見覚えのない名前。
最初に配達されたとき、私は郵便局員に声をかけた。
「これは受け取り拒否します」
素直にそう伝えた。普通なら、これで送り主に返送されるはずだった。
でも、その日は何かが違った。処理が忘れられたのか、追跡番号を使って誰かが再配達を依頼したらしい。
その後、家に戻ると母が不安そうに荷物を持っていた。
「これ、受け取っちゃったの…」
手には伝票、そして代金引換の支払い済みの証拠。
合計14,000円。私が頼んでいない荷物。
怒りより先に、ただただ言葉を失った。
頭の中で何度もシナリオを再生する。
「郵便局の手違いだから、まだ戻せるんじゃないか?」
でも窓口に電話すると、淡々とした声でこう返された。
「100%当方のミスです。でも、一度支払われた代金は返せません」
意味がわからない。
正直、悔しさで胸がいっぱいになった。
私は母と話し合った。
「私がいない間に勝手に受け取ったんだから、仕方ないわね」
母は申し訳なさそうに頷く。
でも、仕方ないで済ませていいのか。
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