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「レジで3度見した」22点で20万6445円…“絹あげ1点18万5178円”を見つけた私が、その場で店員を呼んだ話
2026/06/07

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夕方のスーパーは、いつものように少し騒がしかった。

仕事帰りの人。

惣菜コーナーをのぞく人。

半額シールを待つ人。

私はその中で、買い物かごを片手に、今日の晩ごはんを考えていた。

大したものを買うつもりはなかった。

こんにゃく。

塩ゆで枝豆。

なすび。

絹あげ。

あとは細々したものをいくつか。

完全に庶民の買い物だ。

高級牛肉もない。

カニもない。

金箔入りの何かもない。

むしろ、節約の香りしかしないラインナップだった。

レジに並びながら、私は頭の中でだいたいの金額を計算していた。

まあ、二千円ちょっとかな。

いっても三千円。

最近は何でも高いけれど、さすがに豆腐系と野菜で財布が爆発することはない。

そう思っていた。

店員さんが商品を次々に通していく。

ピッ。

ピッ。

ピッ。

いつもの音。

私は財布を出しながら、ぼんやり画面を見た。

こんにゃく、百八円。

うん。

塩ゆで枝豆、二百九十九円。

安い。

なすび、百五十八円。

ありがたい。

そして次の行で、私の目が止まった。

「絹あげ 185,178円」

一度見た。

目を閉じた。

もう一度見た。

やっぱり、十八万五千百七十八円。

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三度見した。

いや、三度では足りない。

レジ画面の前で、私は完全に時を止められた人になっていた。

絹あげ。

一丁、十八万円。

何が入っているのか。

大豆か。

金か。

それとも職人が一枚一枚、人生を込めて揚げているのか。

店員さんも途中で気づいたのか、手が止まった。

画面の下には、合計二十万六千四百四十五円と表示されている。

二十二点で二十万円超え。

私は今日、スーパーで何を買ったことになっているのか。

「え……?」

店員さんが小さく声を漏らした。

私も同じ顔をしていたと思う。

「すみません、これ……絹あげですよね?」

「はい、絹あげです」

「十八万円になってます」

「ですよね」

ですよね、ではない。

でも、あまりの数字に、こちらも怒る気力が出なかった。

むしろ笑いそうになった。

絹あげ一つで、家電量販店の高級洗濯機くらいの値段である。

これを夕飯の味噌汁に入れたら、もはや食卓ではなく投資だ。

店員さんは慌てて商品を確認し、バーコードを読み直した。

しかし画面は堂々としている。

十八万五千百七十八円。

二回目も同じ。

私は思わず言った。

「そんなに高級な絹あげなら、箱に入っててもらわないと困りますね」

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店員さんが吹き出しそうになり、必死にこらえていた。

隣のレジの人も、ちらっとこちらを見た。

たぶん、画面の数字が目に入ったのだろう。

その顔がまた面白かった。

「何を買ったらそんな金額に?」

そう言いたげだった。

違います。

買ったのは絹あげです。

車ではありません。

しばらくして、責任者らしき人が来た。

商品登録のミスか、何かの設定が変になっていたらしい。

正しい価格に修正されると、合計金額は一気に普通の買い物へ戻った。

さっきまで二十万円を超えていた画面が、急に現実的な数字になる。

私はその落差に、また笑ってしまった。

人間の心臓は不思議だ。

二十万円を見せられたあとなら、三千円台すら安く感じる。

危ない。

これは新手の心理戦かもしれない。

会計を終え、袋に商品を詰めながら、私は例の絹あげをそっと見た。

見た目は普通だった。

白いパック。

いつもの厚揚げ。

どこにも「本日限定十八万円」とは書いていない。

でも、私の中ではもう普通の絹あげではなくなっていた。

一瞬だけ、スーパーのレジで王族扱いされた絹あげ。

価格だけなら完全に貴族だった。

家に帰ってから、私は家族に話した。

「今日、絹あげ買ったら十八万円だった」

最初は誰も信じなかった。

そりゃそうだ。

私だって信じたくない。

でも写真を見せた瞬間、全員が同じ反応をした。

「高っ!」

そして次に笑った。

夕飯にその絹あげを出すと、妙に緊張感があった。

箸でつまむたびに、

「これ、一切れいくら?」

なんて冗談を言い合った。

味は普通においしかった。

十八万円の味はしなかった。

でも、話のネタとしては十分すぎるほど元を取った。

スーパーのレジで三度見した日。

私は学んだ。

値上げの時代とはいえ、絹あげが十八万円になったら、さすがに店員さんに確認していい。

そして、レジ画面はたまに庶民の心臓を本気で試してくる。

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