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愛媛土産より気になったのは、夫の顔に浮かんだ大量の「💦」だった
2026/06/15

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夫が愛媛出張から帰ってきた日のことだった。

玄関を開けるなり、夫は上機嫌で紙袋を差し出してきた。

「はい、お土産。」

愛媛の銘菓だった。

私は笑顔で受け取りながら聞いた。

「ほんとに愛媛行ったの?」

すると夫は少しだけ肩を揺らしながら、

「行ったよ(笑)」

と答えた。

その時は特に気にしなかった。

ただ、妙に早い返事だなとは思った。

その夜。

お茶でも飲みながら食べようと思い、お土産の箱を開けた。

すると違和感があった。

一つ足りない。

明らかに一個分のスペースが空いている。

「あれ?」

思わず箱を持ち上げた。

その瞬間だった。

箱の内側に、一本の髪の毛が張り付いているのが見えた。

長い。

そして鮮やかな赤色だった。

私はしばらくその髪の毛を見つめた。

そして笑った。

思わず笑ってしまった。

だって、あまりにも分かりやすかったから。

女は女の考えることが分かる。

本気で隠したいなら、こんなもの残さない。

残すということは見つけてほしいのだ。

「私は知ってるよ」

というメッセージ。

宣戦布告みたいなものだった。

私は髪の毛をティッシュに包み、何事もなかったように夫を呼んだ。

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「ねえ。」

「ん?」

夫がリビングへやってくる。

私は箱を見せた。

「このお土産さ。」

「どうした?」

「一個食べられてるよ?」

夫の顔が一瞬固まった。

だがすぐに笑顔を作る。

「え?そう?」

「工場のミスじゃない?」

苦しい。

苦しすぎる。

私はさらに聞いた。

「どこで買ったの?」

「普通のお土産屋さん。」

即答だった。

きっと何度も頭の中で練習した答えなのだろう。

私は箱を眺めながら言った。

「ああ、あそこか。」

夫の顔が少し引きつる。

私は続けた。

「道路の突き当たりにある店?」

夫の笑顔が消えた。

「え?」

「赤い髪の女の人が包んでくれた?」

その瞬間だった。

夫の顔から血の気が引いた。

まるで幽霊でも見たみたいな顔だった。

私は何も言っていない。

証拠も見せていない。

名前も出していない。

なのに夫は震え始めた。

「なんで……」

小さな声だった。

「なんで知ってるの……?」

私は答えなかった。

ただ夫を見つめた。

沈黙が流れる。

すると次の瞬間。

夫は突然その場に膝をついた。

「ごめん。」

私は無言だった。

「本当にごめん。」

夫の声が震えている。

「いつから知ってた?」

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「違うんだ。」

「一回だけなんだ。」

「全部話すから。」

「本当にごめん。」

私はただ黙って聞いていた。

面白いものだと思った。

私はまだ何も聞いていない。

浮気なんて一言も言っていない。

なのに夫は勝手に全部話し始めた。

人間は自分が一番隠したいことを突かれると、自分から崩れるらしい。

夫は泣きながら謝り続けた。

言い訳もした。

後悔も口にした。

でも私の心は驚くほど静かだった。

怒りもなかった。

悲しみもなかった。

ただ終わったのだと思った。

全部聞き終わったあと。

私は初めて口を開いた。

夫は顔を上げた。

少しだけ期待した顔だった。

許してもらえるかもしれない。

そう思ったのだろう。

私は夫の目を見て言った。

「出て行って。」

夫が固まる。

私はもう一度言った。

「私の家から出て行って。」

それだけだった。

夫は最後まで泣いていた。

何度も謝っていた。

けれど私は振り返らなかった。

だって夫を追い出したのは、赤い髪の毛じゃない。

浮気相手でもない。

たった一言で崩れ落ちた、その反応だったのだから。

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